8月14日、「戦後70年安倍談話」が閣議決定として出されました。この「談話」はやはりきわめて「姑息な談話」でした。渡部さんの批判をアップします。
◆「「戦後70年安倍談話」の全体像
全体のトーンとしては、
①明治維新以後の日本の歩みを全体としては積極的に肯定し、
②戦前の過ち(「新しい国際秩序」への「挑戦者」となっていった)は一時的なもので、
③それについてはすでにこれまでの内閣で反省・謝罪しているし、基本的には多くの国からも「寛容」の心で許してもらっているから、
④これからの日本の世代の人々には、「謝罪を続ける宿命を背負わせては」ならず、
⑤これから「アジア、そして世界の平和と繁栄に力を尽くす。その大きな責任が」あると述べ、
⑥突然、「経済のブロック化が紛争の芽を育てた過去」とか「国際秩序への挑戦者となってしまった過去」などを持ち出し、
⑦「我が国は、自由、民主主義、人権といった基本的価値をゆるぎないものとして堅持し、その価値を共有する国々と手を携えて、『積極的平和主義』の旗を高く掲げ、世界の平和と繁栄にこれまで以上に貢献してまいります。」と結んでいます。
①に見られるのは、帝国主義時代の日本の朝鮮・中国への侵略について明確に語っていないことです。
②をあえて持ち出したのは、むしろ後でも再度でてくる「国際秩序への挑戦者」という言葉を出すためでもあったと思われます。
③については、今回の談話の最大の焦点になったところですが、安倍首相は自分の言葉で語るのではなく、これまでの村山談話・小泉談話を紹介し、「こうした歴代内閣の立場は、今後も、揺るぎないものであります。」と述べるにとどまっています。そうして、
④で述べていることは、裏返して言えば、相手はどう思おうと、「謝罪はここまで」と一方的に宣言しているのに等しいものと言わざるを得ません。これでは相手は納得できないでしょう。その上で、
⑤に紹介したようなことを述べているのです。
これは安倍首相の言葉を借りれば「世界の中心で輝く日本」(「八紘一宇」の現代版)ということです。
⑥については、最近の中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)などを念頭に置いていることは確かです。(一方で日本は同じブロック経済のTPPに積極的なのに)
⑦については、これは特定の価値観しか認めないというものです。
これも明らかに中国包囲を念頭に置いていることは確かであり、社会主義や共産主義に対し敵対することを表明しています。(これは戦前あるいは冷戦期と同じ考えです)
そして「『積極的平和主義』の旗を高く掲げ、世界の平和と繁栄にこれまで以上に貢献してまいります。」と述べています。これは極端な話、中国包囲網のために積極的に奉仕すると言っているのに等しいと思います。
■今回の「談話」を出した理由
★「戦争法案」を巡り安倍政権への支持率が低下し、へたな談話を出せばさらに支持率が下がり、「法案」も安倍政権もどうなるかわからないという危機感から、形だけでも引用の形で「痛切な反省と心からのお詫びの気持ち」を入れざるを得なくなったのだと思います。
★しかし、それが本心でなかったことは本日(8月15日)安倍首相は、自民党総裁として靖国神社に玉串料を奉納し、閣僚の高市総務相と有村女性活躍担当相は参拝したことにもよく現れています。反省などはしていないのです。
★また、基調の後半に見られるのは、戦前や冷戦期と同様の特定の価値観に基づく「積極的平和主義」(対米従属で「世界征服」)の戦略です。内容的には中国包囲網の形成のことを述べています。
したがって、今回の「談話」で彼が一番言いたかったことはこれだと思います。
これは日本・アジアの人々を(さらには世界中の人々を)再び帝国主義的世界戦争に巻き込む危険な道です。
★しかしそれでも、安倍政権は確かに追い詰められています。だからこそ、今回のような「姑息な談話」を出さざるを得ませんでした。
全国の仲間の皆さん!
今回の安倍首相の「言行不一致」と「積極的平和主義」の危険性をどんどん暴露・追及し、デマゴギー安倍政権を倒しましょう。