お知らせ

拡大表示の方法: キーボードの「Ctrl」キーを押しながら「+」キーを押します。
縮小表示の方法: キーボードの「Ctrl」キーを押しながら「-」キーを押します。

2015年2月17日火曜日

都教委包囲ネット「2.8総決起集会」開催される

 2015年2月8日(日)午後1時30分より、南阿佐ケ谷の杉並区立産業商工会館において、《「日の丸・君が代」強制反対!10・23通達と懲戒処分を撤回せよ!2.8総決起集会》が開催され、140名が結集して成功した。

包囲全体
(1) 毎年2月初旬の日曜日に行われてきた都教委包囲ネットの卒業式前総決起集会は、今年で11回目を数えている。10・23通達直後の2005年の集会には参加者が800名を越えるほどの盛り上がりをみせた。その後も継続して続けられ、今年で11回目を迎えた。
 「日の丸・君が代」の強制の意味は、愛国主義的イデオロギーの生徒への注入であると同時に教育内容への権力的な介入の本格的な開始である。10・23通達から11年が経過した現在、そのことがより一層明らかとなってきている。
 安倍政権のもとで、戦後の教育制度が根底から覆されようとしている現在、都教委の暴走はさらに突出してきている。そういう中でも、卒入学式における現場の教職員の不服従の闘いは現在も継続されている。被処分者の総計は東京全体で累計で463名に達している。そういう現場の闘いに連帯し、支援することを目的として、毎年この時節に開催されてきている。

▼斎藤貴男さんの講演

斎藤

 主催者側からの挨拶と情勢報告の後に、“反骨のジャーナリスト”斎藤貴男さんの講演「戦争のできる国家へ 安倍政権の正体」は、50分にわたる熱演であった。斎藤さんは、「イスラム国」による今回の人質事件に言及しつつ、①安倍政権のもとで「平和」の意味が変質しつつあること、つまり多国籍企業が海外で自由な経済活動が保障されることが「平和」であること、

②それを可能とするための軍事的な展開が必要とされるようになった、つまり単にアメリカの属国であるという理由からだけではなく、日本には日本なりの戦争をしたい理由が生じている、

③いわゆる「アベノミックス」では、金融政策・財政出動・雇用破壊に次いでインフラシステムの輸出を図っている、この典型が原発のユニットごとの輸出であり、そのための現地での軍事力を必要とするようになっている。経済同友会は安全保障に関して「自衛」や「国益」などの再定義の必要を論じている。海外の資産を守ること、また自由貿易体制を守ることががすなわち「広義の国益」であり、これを守ることがすなわち「自衛」である、と安全保障の概念を変えるべきであると2013年に提言している。このような事態に現在立ち至っていると力説した。斎藤さんは続けて、

④朝日新聞バッシングは現代の「白虹(はっこう)事件」であると述べ、最後に戦後民主主義はどれだけ本物であったかが現在問われているとして、弱者や切り捨てられている「地方」との連帯を呼びかけて講演を終了した。
                                                ▼現場からの報告

(2) 次は現場の報告である。まず、義務制の現場から、多摩教組のOさん。10・23通達の時にはまだ余裕があったが、現在は子どもも教員も疲れ切っている。
授業が学習指導要領の通りに行われているかの点検があり、月に2回は土曜授業がある。一学期の終了日が7月20日なのは全体の半数ぐらい。試験問題は持ち帰りできず、遅くまで残って採点、学期末の成績処理のために毎夜遅くまで残っている。オリンピックのためか、1年からスポーツテストをやっている。また、道徳地区公開講座では文科省や教委のつくった資料を使わなくてはならない。いま、教育現場は統括校長→校長→副校長→主幹→主任教諭→教諭、等々と幾重にもランク付けされている。その中で校長や同僚教員らのパワハラが横行している。教員たちはただ黙っている。職員会議も沈黙、教員には議論をする場が全く無い。こういうのが現在の学校現場である。

 高校の現場からは、退職教員のNさんが、新採教員の不採用裁判について、一審の勝訴と今後の見通しについて述べた。また、最近新採教員の正式職員不採用件数が増加する傾向にあること、校長の中には正式採用を停止させることを「業績」と考えているものもいる、とのこと。条件付き採用者で、正式採用にならなかった者の数は、2012年度の98名をピークに高止まりしているが、条件付き採用者の中に占める比率からすると近年増加の傾向がある。この中で多いのが年度途中の自主退職者であり、次に多いのが正式採用「不可」である。2013年度で見ると、正式採用にならなかった者の比率は2.90%であるが、これは全国平均の1.18%に比べると倍以上であり、東京都では新採期間が事実上の選別期間となっていることを意味している。
                                                                続いて、現職教員のIさんが、同僚Oさんが生徒との携帯電話でのメールのやりとりを都教委に咎められ、何と懲戒免職されたこと、そのことを抗議して同僚全員が署名をして校長に申し入れをしたが、都教委は頑として聞かず、裁判に訴えてその結果、執行停止の仮処分を勝ち取ったが、これに対して都教委は職場復帰をさせるどころか、研修センターに勤務を命じた。現在、懲戒免職取消しの裁判に訴えて東京地裁で係争中であるとのこと。これは都教委によるパワハラである。命じているのが東部学校支援センターの人事部のS室長とS主事である。2006年に発足したこの組織は当初の予想の通り、学校現場を「支援」するどころか学校の教育活動の阻害物、パワハラ役人の巣窟と化している。このIさんを始めとするOさん支援の闘いに立ち上がっている現場の教員に対し、都教委は教科の全員を強制異動の対象にするなど卑劣な報復を行っ
ている。
                                                                 続いて、I特別支援校のTさんが、度重なる不起立処分による減給処分や「再発防止研修」攻撃の中で、今年も卒業式(3月19日)を迎えていることを述べた。その緊張感など現在の心境を淡々と冷静に語っていることが印象的であった。
                                                               次に、都立大島高校における自衛隊駐屯地での宿泊防災訓練反対の取り組みが元都立高校教員の永井さんから報告された。2014年11月25日に大島を出発し、その日の午後は職場見学にあてた後、26日から2泊3日で三浦半島の武山駐屯地で「訓練」(隊内訓練)を行った。10月20日に保護者会が開催されたが保護者の中から質問や反対意見が続出して校長は対応に追われていたとのことである。結果、参加者は第2学年35名中わずか16名。校長は不参加者に対して何度も働きかけたが、結果は変わらなかった。当日は都教委から金子一彦指導部長、藤井大輔指導部高校教育改革担当課長など計6名が見学し、それと教員側とを合わせると生徒の数と大差が無く、異様な光景で、ただ「集合・行進・解散」がとめどもなく繰り返され、とても“防災訓練”とは言えたしろものではなかったようである。しかし、自衛隊との連携は宿泊防災
訓練だけではなく、今後も様々な形で執拗に都教委は追求してくると思われる。とくに都立高校でも2016年から始められる「教科道徳・奉仕」が要注意だ。この問題については、ブックレット『高校生をリクルートする自衛隊・自衛隊の手法を取り入れる教育行政』(同時代社発行、800円)を緊急出版した。ぜひご一読いただきたい。

(3) 東京では10・23通達以降、不起立等による被処分者の数が累計で延べ463名にも達している。人事委員会審理や処分撤回などの裁判も現在進行中である。その状況について被処分者の会事務局からの報告が次にあった。
 東京の処分撤回の裁判は、第一次訴訟と第二次訴訟の最高裁判決では憲法判断では残念ながら敗れたが、①「間接的制約」と、②減給以上の機械的な処分は裁量権の逸脱が勝ち取られた。処分撤回三次訴訟は1月16日に東京地裁判決があった。最高裁判決を踏襲して、残念ながら減給・停職処分については、
26名31件が取り消され、1件の訴訟としては過去最大の処分取り消し数となった。しかし、きわめて不当なことに都教委はこのうち5名について控訴という分断を行った。また、減給処分の取消しになった現職教員9名に対して都教委は再処分という暴挙に出ると思われる。裁量権を逸脱したことに対してはもちろん一切の謝罪も行っていない。被処分者の会は今後も闘いを続けていく、と力づよく結んだ。

D青木   ところで、中教審は道徳の教科化を認める答申を行ったが、これを受けて文科省は2月4日に学習指導要領の改訂案を発表した。それに対する意見公募が2月4日から3月5日までの間行われている。「道徳教科化NO!」の声を一通でも多く、文科省にとどけようではないか。文科省のパプコメ用のFAXは
03-6734-4900。
 「道徳」の時間の現状について八王子の義務制の現場からMさんが報告した。文科省は2014年4月に全国の小・中学校全校に『私たちの道徳』を配布した。多くの学校では夏休み前に生徒に配布し、「宿題」として9月に回収していた。また、現場の教師は道徳の研修会に参加させられている。文科省の通知文には次のようにある。「本教材は学校に備え置くのではなく、児童生徒が家庭に持ち帰って家庭や地域等での活用できるように、対象児童生徒一人一人に確実に配布してくださいますよう重ねてお願いします。」家庭や地域社会をも国による国民教化の対象にされようとしている。これが道徳の教科化の現状だ。


(4) 次に、破防法組対法に反対する共同行動からの連帯の挨拶があった。日露戦争の時に、東条英機の父の東条英教は「学校は軍隊の母である」と言った。教育というものそのものの在り方を考えてみたい。今国会に上程されようとしている盗聴法の改定案でもそうだが、共謀罪でもとくに対象となる犯罪の拡大が重大な問題である。今は「反テロ」と言えば何でも通りそうな雰囲気である。なんとしてでも阻止したい。2月17日の12時から共謀罪阻止の院内集会がある。
                                                                2月20日の午後6時半より文京区民センターで「密告・盗聴反対集会」が開催される。 続いて大阪から大阪ネットワークの事務局から大阪の現状の報告と連帯のあいさつがあった。「君が代」起立斉唱命令に抗する闘いと裁判闘争が現在の最重要課題だが、それと同時に中原教育長の辞任要求がいま闘いの主要な課題である。署名運動と府教委に対する辞任要請行動を行っている。中原が辞めるまで続けるから今後も署名への協力をよろしくお願いする。


(5)  今年も卒業式のビラまき行動を積極的におこなっていきたい。今年で11回目になる。卒業式日程表をご覧になって、もしご協力願えたらよろしくおねがいしたい、との提起が都教委包囲ネットの事務局から行われた
  最後に、集会宣言が読み見上げられ、ビラまきや4月25日の道徳教科化に関する学習会への参加呼びかけも行われて、集会の幕が閉じられた。   (文責・青木)