「8、銃剣道による自衛隊へのこどもたちの取り込みは許されない!」
中川信明(練馬教育問題交流会)
<国体で出場する高校生の「銃剣道」>
「2013年、東京で国民体育大会(・・)が開催されました。・・・練馬区総合体育館においては、銃剣道が行われました。銃剣道は、銃剣を模した木銃で突き合う競技で、『成年男子の部』と『少年男子の部』が行われました。・・『成年男子の部』の選手というのは自衛隊員なのです。
一方、『少年の部』は、高校生たちが参加しました。たとえば、東京都代表の選手たちは、都立光丘高校2名と都立北豊島工業高校1名で構成されていました。
しかし、都立光丘高校には銃剣道部はありません。出場の2名は剣道部の部員であり、 1年生の時から、元自衛隊員から指導を受けていたようです。
宿泊防災訓練と同様、ここでも都立高校生徒と自衛隊の接触がはかられているのです。」
<戦技として発展した銃剣道>
「銃剣道は、・・『左胸部』と『のど』を突いて勝敗を競う武道です。つまり、相手を疑似的に死に至らせた方が勝利ということなのです。・・
銃剣道のルーツをたどりますと、明治初頭に陸軍戸山学校で戦技として編み出されたことが明白になっています。(「銃剣術」と呼ばれた)・・・」
「銃剣自体はアジア太平洋戦争における白兵戦や民衆虐殺に大いに利用され、それゆえ銃剣術は戦後GHQによって禁止されました。・・ しかし、その後、銃剣道と名を改めて、自衛隊によって復活させられます。
・・『昭和31年、旧陸軍戸山学校出身者が中心となり、全日本銃剣道連盟が発足しました。陸海軍を問わず、旧軍で盛んに行われた銃剣術が自衛隊で訓練採用され、普通科部隊を中心に、銃剣道の訓練が始められました。・・」
「さらに、銃剣道は自衛隊内にとどまらず、スポーツの装いが施され、1973年には全日本銃剣道連盟の日本体育協会加盟が承認され、1980年から国体の正式種目となりました。しかしながら、いまだに競技人口の約8割は現役もしくは元自衛隊員で・・・国体『成年男子部』では、選手も監督も審判も、リハーサル大会では場内アナウンスまでもが自衛隊員であるという状況でした。」
「もちろん、自衛隊内の訓練として銃剣道は続けられ、インターネットで『銃剣道』を検索するとユーチューブ・・・剣道大会の映像を観ることができます。そして自衛隊においては、銃剣道の他に『銃剣格闘』という本物の銃剣を使用した訓練も行われています(2008年以降は、新格闘・武装技術という名称に代わっているようですが) ・・」
<自衛隊のリクルートの一環として子どもや高校生を指導>
「・・自衛隊駐屯地内の道場やスポーツ少年団で、子どもたちは銃剣道を指導されています。
小学生には銃剣道の前段階として短剣道も教えられております。・・」 「高校生は国体で『少年男子の部』に出場し、東京都代表は都立高校生でした。一方、同時に出場した神奈川の代表は横浜修悠館高校の生徒でした。ところが、彼らはすべて同校通信制に所属する陸上自衛隊高等工科学校の生徒、つまり少年自衛官でした。・・・このような銃剣道の試合は、普通の高校生と少年自衛官が同じ土俵に立つ場でもあるのです。」
「そして、銃剣道を広めていくために、その『戦技色』隠しに必死です。たとえば、 国体のパンフレットやHPには、銃剣道の由来として次のように書かれています。
『銃剣道は、わが国の伝統的古武道の一つである槍(やり)の突き技を源流とした武道です』と。
・・陸軍で生まれ戦技として発展してきたことは、銃剣道連盟関係者自身が明らかにしているところです。・・・」
「そして2012年より中学校の武道必修化を文科省が決定し実施しています。今のところ、武道は『柔道、剣道、相撲』の内一つが原則ですが、『なぎなたなど他の武道』も選択してよいことになっています。
『その他』の武道の中には、銃剣道も含まれています。・・・銃剣道が、武道科目として中学校に採用されることを絶対に許してはなりません。」
<高校生の取り込み(リクルート)を許してはならない>
「・・今回、都立大島高校の生徒たちを防災訓練のため送り出そうとしている、陸上自衛隊武山駐屯地には、前述の陸上自衛隊高等工科学校があります。
おそらく、この防災訓練中には、同校生と大島高校生徒の交流も企てられるのではないでしょうか(・・・)。訓練内容よりもこのような同年代の高校生同士の交流が、 リクルートのためにも役立つのかもしれません。・・」
「銃剣道にしろ、防災訓練にしろ、『軍事色』『戦争色』を隠した上での、子どもたち・高校生の取り込み(リクルート)策なのです。しかし、実際の自衛隊は、集団的自衛権容認や特定秘密保護法の施行によって、
水面下で『軍事化』『戦時下』が進行しています。・・その矛盾をしっかり見すえつつ、反対運動をより一層強めていかなければなりません。」
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ここでは、戦後禁止された「銃剣術」がその後「銃剣道」と名をかえ復活し、連盟を立ち上げ(1956年)、日本体育協会にも加盟(1973年)し、国体の正式種目(1980年)となり、小中高校生、とりわけ中高生の間に浸透させられている状況が述べられています。
そうして、最後に結論が述べられています。
この結論は、現在進行してる実際の状況を的確に言い表していると思います。
以上で、パンフの紹介は終わりですが、改めて、現政府は、「国益」と称して、世界中に進出している現代の財閥=独占資本の利益のために、青少年に再び銃を持たせ戦場に送ろうとしていることが明らかになったと思います。つまり、若者が再び悲惨な侵略戦争にかり出されようとしています。
したがって、「教え子を(あるいは若者を)再び戦場に送るな!」というスローガンは、けっして過去のものではありません。まさに今こそ、高く掲げるべき時だと言えるでしょう。