■ 4月30日(水)、都教委は入学式での不起立者2名に不当な減給処分を行うとともに、再発防止研修を命じました。被処分者の会の近藤徹さんからの報告をアップします。
◆都教委の入学式処分の強行、再発防止研修の受講命令に断固抗議する!
4月30日、東京都教育委員会は2名の都立学校教員(都立高校1名、特別支援学校1名)に対し入学式での不起立などを理由に処分を強行し、同時に5月13日の再発防止研修の受講命令を発令しました。
被処分者の会は、理不尽な処分で教職員を恫喝して恥じない都教委の暴挙に対して断固抗議し、処分の撤回を求めます。
なお、5月13日の再発防止研修に対しては、被処分者の会呼びかけにより早朝から抗議・支援行動を行います。時間など詳細は追って連絡しますが、今から予定に入れておいて下さい。
都教委HP
服務事故
↓
http://www.kyoiku.metro.tokyo.jp/pickup/p_gakko/hukumujiko/140430.pdf
平成26年4月30日
教 育 庁
入学式における職務命令違反等に係る懲戒処分について
東京都公立学校で実施された平成26年度入学式等において、一部の学校で服務事故
が発生したことに伴い、以下のとおり教員の懲戒処分を行ったので、お知らせしま
す。
◆処分の事由
平成26年度入学式等において、国歌斉唱時に国旗に向かって起立し斉唱することを
校長から職務命令として命じられていたにもかかわらず、職務命令に違反するなどの
行為を行った。
◆処分の内容
職務命令違反等を行った教員について、地方公務員法に基づく懲戒処分を行った。
都立淵江高等学校 減給10分の1・6月
都立板橋特別支援学校 減給10分の1・1月
合 計 2校 2名
◆発令年月日 平成26年4月30日
【問合せ先】
東京都教育庁人事部職員課
電話03-5320-6798(直通)
・・・・・・・・・・・・・・・・
◆入学式における「日の丸・君が代」不当処分に抗議する声明 被処分者の会
本日4月30日、東京都教育委員会(都教委)は、入学式での「君が代」斉唱時の不起立などを理由に都立学校の教職員2名に対する懲戒処分発令を強行した(高校1名・減給10分の1・6月、特別支援学校1名・減給10分の1・1月)。これは3月卒業式での教職員4名の処分に続くもので、これにより卒業式、入学式などで「日の丸・君が代」を強制する10・23通達(2003年)に基づく懲戒処分の数は延べ463名となった。私たちは、不当な処分発令に満身の怒りを込めて抗議し、その撤回を求めるものである。
なお、今回都教委は、都立高校教員に対しては、国歌斉唱時の「前掲姿勢」を職務命令違反であると強弁し、他の行動と合わせて減給6月の重い処分を科すという前代未聞の暴挙を行った。
都教委によるこれらの処分は、東京都の「裁量権の逸脱・濫用」であるとして減給・停職の処分を取り消した2回の最高裁判決(2012年1月及び2013年9月)の趣旨を無視するものであり、断じて許すことはできない。
また、都教委は、被処分者を対象に5月13日に「服務事故再発防止研修」を実施することを決め、受講命令を発令した。この「研修」は、センター研修2回(各200分)と長期にわたる所属校研修を被処分者(受講者)に課し、精神的・物理的圧迫により、執拗に追い詰め「思想改造」を迫るものであり、「繰り返し同一内容の研修を受けさせ、自己の非を認めさせようとするなど、公務員個人の内心の自由に踏み込み、著しい精神的苦痛を与える程度に至るものであれば、そのような研修や研修命令は・・・違憲違法の問題を生じる可能性があるといわなければならない」とした東京地裁民事19部決定(2004年7月)に反するものである。
私たちは、都教委に対する「都教育庁関係部署(人事部職員課、教職員研修センター研修部教育経営課など)の責任ある職員と該当者及び被処分者の会・同弁護団との話し合いの場を研修実施予定日の前に設定すること」との申し入れ(4月21日)を無視して強行発令された憲法違反の再発防止研修の即時中止を要求するものである。
上記最高裁判決は、起立斉唱・ピアノ伴奏を命ずる職務命令が「思想及び良心の自由」の「間接的制約」であることを認め、減給以上の処分については、「処分が重きに失し、社会観念上著しく妥当を欠き、懲戒権者の裁量権の範囲を超え、違法」として計32件の減給・停職の処分を取り消した。最高裁が、都教委による従来の累積加重処分に歯止めをかけたのである。
更に、櫻井龍子裁判官は補足意見で、教育環境の悪化を危惧して、「教育の現場において…自由で闊達な教育が実施されていくことが切に望まれるところであり、全ての関係者によってそのための具体的な方策と努力が真摯かつ速やかに尽くされていく必要がある」と述べ(2012年1月16日)、鬼丸かおる裁判官の補足意見では、「謙抑的な対応が教育現場における状況の改善に資するものというべき」と教育行政による硬直的な処分に対して反省と改善を求めているのである(2013年9月6日)。
10・23通達発出から10年以上経過し、内舘牧子氏の教育委員退任(本年3月)により、同通達発出時の教育委員は一人もいなくなっている。こうした状況を踏まえて、私たちは、同通達に係わる懲戒処分について同委員会で真摯かつ慎重に議論し、これまでの教育行政及び同通達を見直すことを強く求めてきた。にもかかわらず、都教委は、一切の検討もせず、最高裁判決を無視して、原告団・弁護団との「話し合い」をも拒否して問題解決の努力を放棄するのみならず、ひたすら機械的・強圧的に教職員の処分及び再発防止研修を強行しているのである。
今、国政では、解釈改憲による集団的自衛権の行使を容認によりこの国を「戦争をする国」にしようとする動きが加速している。「教育再生」と称する教育委員会制度・教科書制度改悪、道徳の教科化などの戦後の民主的教育の破壊の危機も進行している。学校での「日の丸・君が代」強制はこれらの動きと一体のものである。
私たちは、都教委の「暴走」をやめさせ、自由で民主的な教育を甦らせ、生徒が主人公の学校を取り戻すため、「日の丸・君が代」強制に反対し、全国の仲間と連帯して不当処分撤回まで闘い抜く決意である。「教え子を再び戦場に送らない」ために!
2014年4月30日
「日の丸・君が代」不当処分撤回を求める被処分者の会・東京「君が代」裁判原告団
共同代表 岩木 俊一 星野 直之
連絡先:事務局長 近藤 徹