2025年2月9日
都教委・包囲ネット 2・9総決起集会
7/21 第14回『日の丸・君が代』問題等全国学習・交流集会」報告
7月21日、大阪で「第14回『日の丸・君が代』問題等全国学習・交流集会」(実行委員会主催)が開かれ、オンライン参加を含め123名が参加した。(渡部報告)
◆最初に、関西大学法学部教授の高作正博さん(憲法学)の<内心の監視・規制と戦時体制――不起立処分が招いた日本社会の現在>と題する記念講演が行われた。詳しくは紹介できないが、レジュメにもとづいて大まかな骨子を紹介する。
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序ー日本社会の現状
(1)自民党の改憲論が孕む「暴力性」
(2)日本社会における「異論」の否定
(3)日本社会における「共生」の否定
1思想の監視と人権の浸食
(1)不起立訴訟における最高裁判決
(2)テロ等準備罪と「君が代」暗記調査の影響
2 岸田政権による憲法破毀(はき)の現在
(1)日本の軍拡
(2)「日米共同声明」(2024年4月10日)
結—米国等と共に「戦争をする国」へ
(1)思想調査・身辺調査の日常化
(2)「国民の敵」を国内に作る;権力者+多数派 vs. 少数派
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高作さんは、力強くこれらの項目について具体例をあげ説明してくれた。
そして、最後にある「権力者+多数派 vs. 少数派」について、この「少数派」を多数派にする努力が必要だ、と述べられた。
◆次に、パネル報告・討論が、
*パネラー:根津公子さん(東京)、横塚志乃さん(熊本大学准教授)、水谷麻里子キャロラインさん(京都市・保護者)、高作正博さん
*コーディネーター:寺本勉さん(「ひのきみ」大阪ネット)
で行われた。最初にそれぞれのこれまでの闘いを報告してもらい、次にそこで明らかになったこと、最後に今後の展望について語って貰うような形で進められた。
・そのなかで、今回特に「水谷麻里子キャロラインさん(京都市・保護者)」の報告が印象的だった。彼女の娘が小学校の卒業式の際に「君が代」起立斉唱を拒否すると教員と管理職から40分間も説得されたこと(それでも拒否した)や中学校の入学式での代表あいさつ文を書き換えられたことなどを報告、さらに親子で文科省に申し入れをしたことも報告された。
これらについては「はらっぱ」の記事、「週刊金曜日」の記事を添付する。
その中でも、「はらっぱ」に載っている娘さん(田花結希子(たばなゆきこ)アイリーン)
の文章はとても素晴らしい。是非読んでいただきたい。
そのなかには「このことですぐに助けてくれたのが、大阪で君が代や日の丸に反対したことで処分を受けて裁判をしている先生たちでした。何十年も、人生を懸けて闘っている
先生たちは素敵でした」などという文もあった。
・こうしたなかで母子は多くのバッシングに会い、「日本の先生も社会も、問題をよくわからないままに同調圧力でお上に従っている、しかし、先生などと話していくと、わかってくれる先生も出てきた」と述べていた。
また「娘は福島原発事故で京都に避難して来て、原発問題をなかなか口に出せないでいた生徒とも友人になった」とも述べていた。
彼女の発言はストレートで、明朗快活そのものだった。
集会はその後、<特別報告>として、
〇東京「君が代」裁判五次訴訟と新たな攻撃—時間講師不合格問題について
Webで(五次訴訟原告・川村佐和さん)
〇7月5日についた最高裁上告棄却を受けて (「君が代」不起立被処分者・奥野泰孝さん)」
の報告があった。前者では君が代」被処分者は、教員不足のなかでも、時間講師にも雇われない(生徒の教育権よりも「君が代」が大事)ことへの怒りが、後者では「原告の訴えを知ろうとしないで判決を書いた、と私には見える」最高裁への怒りが語られた。
◆次に「各地からの報告」として
*大阪「君が代」調教裁判と今後の取り組み(松田幹雄さん)
*大阪・吹田市「君が代暗記調査」等(梅原聡さん)
*神奈川からの報告(「教育と個人情報保護を考える会」外山喜久男さん)
*千葉からの報告(千葉高教組 石井泉さん)
*広島からの報告 Webで(「教科書問題を考える市民ネットワーク・ひろしま」岸直人さん)
*愛知からの報告(小野政美さん)
*神奈川・川崎市音声データ裁判勝訴 資料で(近藤順一さん)
*福岡からの報告 資料で (木田悦英さん)
この中では、「広島からの報告」(Web)が特に印象深かった。
現在、被爆地ヒロシマで、いかに平和教育が破壊されつつあるか、また「核抑止」を正当化するような教育が行われつつあるか、その中で今年の原爆の日が迎えられようとしていることの危険性、が報告された。
◆次に、「連帯報告」として
*教科書検定と中学校教科書採択をめぐる闘い(伊賀正浩さん)
*自衛隊員募集と個人情報・高槻市等における取り組み(山本博樹さん)
*久保校長処分と大阪市教育行政(「ガッツせんべい応援団」久保敬さん)
*奈良教育大附属小学校問題(「奈良教育大学附属小を守る会~みんなのねがいでつくる 学校応援団」事務局 山崎洋介さん)
*万博への学校行事による子ども動員反対(夢洲カジノの会 八木正行さん)
*「軍学共同」・学術会議等問題(「軍学共同反対連絡会」事務局長 小寺隆幸さん)
の報告がなされた。
◆ご覧のようにここでは、現在教育関係の諸問題で闘っている仲間たちがその実態を報告してくれた。いずれも困難な闘いを展開しているが、しかし、どちらが道理があるかははっきりしている。
教科書問題にしろ、奈良教育大附属小の問題にせよ、万博への子ども動員にせよ、すべて一部の支配層によるファシズム的な戦前回帰型国家主義教育の具体化であり、それに対する民主的・科学的な教育の復権を求める教育関係者や学者・勤労市民の闘いである。
◆以上のように、今回の「全国学習・交流集会」は、その幅広さ豊かさにおいて、大きな成果を上げることができたといえる。
そうした中でも、明朗快活に「君が代」強制に抗う母子の登場は、多くの参加者を改めて目覚めさせ、励ますことになったといえよう。
何度でもいうが、主権在民の日本社会で、「君が代」(その意味は、天皇主権の世の中が長く長く続きますように、である)、を主権者の民に強制することなどはあってはならないことである。
もし為政者がそうしたことをするなら、自覚した民は立ち上がってそうした為政者を代えなければならない。
そして、同調圧力に屈し精神的奴隷となっている主権者の民を解放しなければならない。
今回の「君が代」強制にあがらう母子の登場は、私たちにその事を語っているのではないだろうか。
7/18 東京「君が代」裁判 五次訴訟報告
「日の丸・君が代」強制は戦争への道 憲法が生きる教育を求めて〜東京「君が代」裁判五次訴訟・第2回証人尋問 被処分者の会事務局長 近藤徹さんの報告
●7月18日、東京「君が代」裁判五次訴訟(原告15名・現元都立学校教員)・第2回証人尋問が東京地裁で行なわれた。地裁提訴から3年4ヶ月、最大の山場の証人尋問2回目。猛暑の中、多くの人が東京地裁103号法廷(大法廷)に傍聴に来てくれた。用意した傍聴ハンドブック120部が足りなくなるほどだった。
●午前に原告3名、午後に原告3名(いずれも現・元都立高校教員)の証人尋問だった。
この尋問を通して、卒入学式で「日の丸・君が代」を強制する10・23通達(2003年)により都立高校の学校教育の変容、通達の狙いがより鮮明になった。
●自由で民主的な都立高校の職場が破壊され、職員会議が都教委・校長の伝達機関と化し、(教員が)「物言えば唇寒し」という状況になっていること、減給処分を取り消された原告に対する再処分(戒告処分を出し直す)の強行や再任用の打ち切り、担任にさせないなど被処分者を徹底的に排除していることが明らかになった。
●どの都立高校も「起立しない生徒がいたら(司会が)起立を促す」という式次第があり、子どもたちにも起立を強制している。教職員の起立は子どもたちへの同調圧力であり、これに加担できないという思いから起立できなかった原告らの真摯な気持ちが伝わってきた。
「日の丸・君が代」強制は戦争への道という原告らの共通の思いも語られた。
憲法で保障された思想・良心の自由、教育の自由を守り抜き、東京の学校に憲法を取り戻し、子どもたちの成長と発達を保障する教育の再生を実現するために闘いは続く。
★次回 東京「君が代」裁判第16回口頭弁論・最終弁論(結審)
12月16日(月)
13時 傍聴希望者(裁判所前案内あり)
13時30分開廷
東京地裁631号
7/4 東京「君が代」裁判五次訴訟・第1回証人尋問の報告
【「日の丸・君が代」強制反対! 違憲・違法な処分を取り消せ! 頑張るぞ!〜東京「君が代」裁判五次訴訟・第1回証人尋問】
★7月4日、東京「君が代」裁判五次訴訟(原告15名・現元都立学校教員)・第1回証人尋問が東京地裁で行なわれた。地裁提訴から3年4ヶ月、後半戦の最大の山場の証人尋問とあって、猛暑の中、100名を超える人が東京地裁103号法廷(大法廷)に傍聴に来てくれた。(被処分者の会・事務局長 近藤徹さんの報告です。)
★午前の証人尋問は、岡田正則早稲田大学教授(行政法学)と原告1名(元都立高校教員)の証人尋問だった。
周知のように、岡田証人は2020年10月、菅首相(当時)により、学術会議会員の任命を拒否された6人の学者の一人。行政法学の立場から本件処分が違法であり、「(行政の)裁量権逸脱・濫用」にあたることを根拠、資料を示して証言した。
★午前1名、午後2名(都立特別支援学校教員、都立高校教員 いずれも現職)の原告本人尋問では、都教委がよる処分を振りかざしての「日の丸・君が代」強制がいかに学校教育を破壊しているか、が明らかになった。
内容の詳細は長くなるので省くが、次回7月18日に原告6名(現・元都立高校教員)の証人尋問があるので是非傍聴に来て、都教委の教育破壊の実態を知って欲しい。
★10・23通達(2003年)発出から20年7ヵ月。粘り強く闘われている東京「君が代」裁判五次訴訟への引き続くご支援をお願いする。憲法で保障された思想・良心の自由、教育の自由を守り抜き、東京の学校に憲法を取り戻し、子どもたちの成長と発達を保障する教育の再生を実現するために。
■東京「君が代」裁判第五次訴訟・証人尋問2回目
(東京地裁民事36部。卒入学式及び再処分取消請求事件。原告15名)
*報道関係者の取材歓迎。取材を希望する場合はご連絡頂ければ、席を確保します。
日時:7月18日(木) 9時30分
傍聴希望者集合
午前10時 開廷→終日証人尋問
(昼食、入れ替えあり)
午後1時 後半開始
場所:東京地裁103号
(大法廷 定員98名)
内容:原告本人尋問(午前3名・午後3名 いずれも現・元都立高校教員)
*大法廷を埋め尽くすため、多くの傍聴をお願いします。
6/13都教委定例会 根津公子の傍聴記
2件の報告は、都教委の「成果」を報告するがため?
今日の議題は、公開報告が①昨年度の中学校スピーキングテストの実施状況について。
非公開議題は、懲戒処分についての報告と議案(議案になるのは重い処分が想定される 場合)でした。
①昨年度の中学校スピーキングテストの実施状況について
スピーキングテストを議題にしたのは、2月15日、4月24日の定例会に続き今回が3回目でした。2月の報告は、平均スコアが65,2(22年度は60,5)%と良くなった、良くなったのは、中学校での取組が進んだことと子どもたちの意欲向上によるものだと。ただ、機器の不具合、イヤーマフ・イヤホンの装置関連、現場対応の誤りなどがあり60人の生徒に支障が生じた。その生徒に対し「説明・謝罪の上、希望者に対し、再度の受験機会を設定する」というものでした。4月24日の報告は、出題のねらい、出題形式、評価の観点とその達成度(良くなった)についてでした。…
さて今日の報告は、昨年度実施の1,2年生用試験問題及び解答例を示したうえで、評価の観点と実際に生徒たちが得た評価(3段階評価)の結果でした。「目標とするレベルを超えている」「目標とするレベルにある」が1年生で86,2%、2年生で73,5%。生徒一人ひとりの結果を学校に送り、教員が指導改善に役立てるようにしたいとのことでした。
これまでも度々お伝えしてきましたが、このスピーキングテストは、解答する隣の人の声が聞こえてしまうとか採点・加点方法について、当事者である中学生を含む大勢の人たちから中止を求める声があがり続けてきました。そうした中、教育委員から2月15日には「達成度が向上してよかった。現場の指導にフィードバックするようにしたい」と、今日は「大きなトラブルもなくよかった。授業改善や家庭学習に役立てていってほしい」(どちらも要旨)と発言がありました。教育委員が「成果」を強調する発言をすることで、中止を求める人たちを説得するつもりなのか、はたまた、成績が向上しているのに中止を求めるとはけしからんということなのかと疑念を持たざるを得ませんでした。
②児童・生徒を教職員等による性暴力から守るための第三者相談窓口実績について。
2022年度から始めた相談窓口(電話・メールでの相談、全児童・生徒に配布した相談シートを使っての相談:相談シートは子どもが記入し糊付けすれば、都教委に郵送される)。23年度は相談シートに「傷つく言葉を言われた」等の項目を追加した結果、相談件数は1011件と前年度比4倍に増加したと言います。
相談の内訳は、
・「教職員による性暴力等が疑われる相談」が28件、うち、事実が認められたもの2件(2件とも懲戒免職にした)、事実が認められなかったもの16件(誤解を招く行動をしないよう注意喚起)、調査を継続しているもの5件ほか。
・「教職員の指導に関する相談」は580件、うち、事実が認められたもの167件、事実が認められなかったもの143件、(加害者や相談者が特定できない等)事実確認が困難だったもの270件。
・「児童・生徒同士のトラブルが疑われる相談」が255件で、うち、トラブルが認められたもの137件…と続きます。
★根津コメント
相談窓口が子どもたちに周知されたことで相談件数が4倍になったのは確かでしょう。しかし、都教委がそれを「実績」として誇ることには違和感があります。指導に問題があるとして寄せられた相談の多さを深刻に受け止めるべきです。
なぜ、私がそう言うのか――。指示命令で教員を管理支配する都の教育行政。それによって働き辛い学校職場となり、病休者(とりわけ精神疾患)が多くなっている、さらには、刑法に抵触する犯罪行為が多発している(注)と私は感じてきました。教員が意欲を持って働くことのできる職場環境にするには、都教委が管理支配を止め、かつてのように学校現場に任せること、教育への介入を止めることです。
(注)都教委定例会の議題に教職員の懲戒処分案件・報告がないことはまずありません。都教委HPを見ると、直近の5月の懲戒処分は7件、最も重い案件は「駅構内のエスカレーターにおいて、スマートフォンを使用して、前方にいた女性のスカート内の下着等を動画撮影するなどしたという行為で懲戒免職。高校主幹教諭(副校長のすぐ下の中間管理職)、45歳」。
7/4 東京「君が代」裁判第五次訴訟
★東京「君が代」裁判第五次訴訟・証人尋問1回目
(東京地裁民事36部。卒入学式及び再処分取消請求事件。原告15名)
五次訴訟は地裁提訴から3年4ヶ月。後半戦の最大の山場・証人尋問が行われます。
大法廷を埋め尽くすため、多くの傍聴をお願いします。
日時 7月4日(木)
9時30分 傍聴希望者集合
10時 開廷→終日(午前、午後)証人尋問
(昼食、入れ替えあり)
場所 東京地裁103号(大法廷 定員98名)
内容 (午前10時〜)
岡田正則(早稲田大学大学院教授・行政法)
*菅首相(当時)により学術会議会員の任命を拒 否された6人の学者の一人。
原告本人尋問(1名)
(午後13時〜予定)
原告本人尋問(2名)
★東京「君が代」裁判第五次訴訟・証人尋問2回目
(東京地裁民事36部。卒入学式及び再処分取消請求事件。原告15名)
日時 7月18日(木)
9時30分 傍聴希望者集合
10時 開廷→終日証人尋問
(昼食、入れ替えあり)
場所 東京地裁103号(大法廷 定員98名)
内容 (午前10時〜)原告本人尋問(3名)
(午後13時〜予定)原告本人尋問(3名)
*大法廷を埋め尽くすため、多くの傍聴をお願いします。
*学校に自由と人権を!—粘り強く闘われている「日の丸・君が代」強制反対の裁判。被告東京都を相手に処分撤回を求め闘い続けて21年です。
5/23 都教委定例会 根津公子さんの傍聴記
★新自由主義教育・格差拡大の教育にまっしぐら
今日の公開議題は、議案が①2025年度都立立川国際中等教育学校付属小学校の1年生の募集人員等について、報告が②得意な分野(理数・芸術)の才能を伸ばす特別プログラムについて ③2027年度全国高校総合体育大会東京都準備会の設置について。
議題の①②を見ればわかるように都教委は新自由主義教育・格差拡大の教育にまっしぐら。4月24日に行なわれた定例会傍聴報告では都立高校生の国際交流及びスピーキングテストの報告を聞いていて、「『グローバル人材育成』には教育予算をふんだんに使う」と私は思いましたが、ほぼ毎回そうした議題です。
「東京都教育ビジョン」には、「誰一人取り残さないきめ細やかな教育の充実」を掲げますが、ことばだけ。実態は、毎年存続を求める声が上がり続けても都教委は夜間定時制廃校の方針を変えないことに象徴されます。都教委だけでなく教育委員もこの矛盾には気づかないのか、それとも、学力「優秀」で社会的地位も安定している教育委員には、「自己責任」としか映らないのかと疑ってしまいます。
非公開議題では懲戒処分の議案(報告ではなく議案になるのは重い処分)が2件ありました。今朝の新聞報道では、高校の主幹教諭(45歳)が「駅構内のエスカレーターにおいてスマートホンを使って女性のスカート内の下着等を動画撮影した」ことで懲戒免職になったということです。こうした犯罪が毎月のようにあるのは、都教委が教員を支配管理する教育行政にあるのは間違いないと私は思います。これについても教育委員は毎年「服務事故防止月間」を設けても犯罪が減らないのはなぜかを考えるべきです。
①2025年度都立立川国際中等教育学校付属小学校の1年生の募集人員等について
来年度の募集人員は、23年、24年度と同じに2クラス70名(うち、海外帰国・在京外国人児童が12名)でいいかという議案で、了承されました。
応募人数(児童)は男女ともほぼ24倍とのことです。それについて都教委は、「『国際』なので英語の授業時間が通常の学校の4倍で、その成果も出ているからでしょう」と。「生徒も教員も生き生きしている」と付け加えました。
②得意な分野(理数・芸術)の才能を伸ばす特別プログラムについて
目的は、「理数・芸術分野に興味・関心の高い生徒を対象として、視野を広げたり興味のあることを深めたりする高度な教育プログラムを構築し、生徒一人ひとりの得意分野の才能を伸長し、国内外で活躍するか学者・研究者・芸術家の育成を目指す」と言います。
理数分野は今年が3年目、芸術分野は2年で、1年生・2年生とも各20名を募集。生徒は2年間プログラムに参加するとのこと。
プログラムの内容は、著名人による講演を2回、見学(理数分野は研究機関等、芸術分野は演奏会鑑賞、美術館等)を3回受けた後、講座(理数分野は10講座、芸術分野は8講座)の中から希望する講座を選択し大学教授等による指導を受けるということです。昨年度参加した生徒からは「学校では絶対できないような経験ができた」等々、当然出てくるだろう感想でした。
うんざりした気持ちで私は会場を後にしました。
7/4、7/18 東京「君が代」裁判第五次訴訟・証人尋問
【五次訴訟後半戦最大の山場~証人尋問~大法廷を傍聴で埋めよう!】
学校に自由と人権を!―粘り強く闘われている「日の丸・君が代」強制反対の裁判。2021年3月地裁提訴からほぼ3年4ヶ月。いよいよ後半戦の最大の山場・証人尋問が行われます。大法廷を埋め尽くすため、多くの傍聴をお願いします。
★東京「君が代」裁判第五次訴訟・証人尋問1回目(東京地裁民事36部。卒入学式及び再処分取消請求事件。原告15名)
7月4日(木)
9時30分 傍聴希望者集合
10時 開廷→終日(午前、午後)証人尋問(昼食、入れ替えあり)
東京地裁103号(大法廷 定員98名)
内容:(午前)岡田正則(早稲田大学大学院教授・行政法)*菅首相(当時)により学術会議会員の任命を拒否された6人の学者の一人。
原告本人尋問(1名)
(午後)原告本人尋問(2名)
★東京「君が代」裁判第五次訴訟・証人尋問2回目(東京地裁民事36部。卒入学式及び再処分取消請求事件。原告15名)
7月18日(木)
9時30分 傍聴希望者集合
10時 開廷→終日証人尋問(昼食、入れ替えあり)
東京地裁103号(大法廷 定員98名)
内容:原告本人尋問(午前3名・午後3名)
*大法廷を埋め尽くすため、多くの傍聴をお願いします
5/24 日刊スポーツ報道 「尾木ママ」尾木直樹氏 文科省に怒り
「尾木ママ」尾木直樹氏、NHK報道に抗議した文科省に怒り「事実なら余りに笑止千万」
5/24(金) 16:09配信 日刊スポーツ
尾木ママこと教育評論家の尾木直樹氏(77)が24日までに、ブログを更新。公立学校教員の長時間労働をめぐる「定額働かせ放題」と称される問題について言及した。
尾木氏は「『定額働かせ放題』は全く正しい!!NHKは足りない位」と題してブログを更新。「文科省がNHKに抗議したという報道 事実なら余りに笑止千万!!」と書き出し「教員の働き方改革に取り組んでいる文科省は『給特法』により残業代を払わない代わりに給料に4%上乗せして払うと言うものです これを4%から10%に引き上げようという改革案なんです」と説明。続けて「しかし残業代の代わりにしたいのなら 少なくとも40%には改正しないと残業実態に合わないのです まさに『定額働かせ放題』なんです NHKがこう報道するのは全く正しいのです むしろまだまだ足りないんです」とし「教員をぐんと増やして1人ひとりの教員の持ち時間(持ちコマ)数を減らすことです 見当違いの答申を文科省に出した中教審はどうかしています! みなさんはどう思いますか?」と締めくくった。
NHKは13日に、公立学校教員の給与制度をめぐり「定額働かせ放題ともいわれる枠組み自体は残る」などと説明して報道。文科省は17日に、初等中等教育局長の矢野和彦氏の署名で、ホームページに抗議文を掲載し、報道に関し「一面的に、教育界で定着しているかのように国民に誤解を与えるような表現」「大変遺憾」などと記した。
5/22朝日新聞報道 文科省、NHKの報道に抗議「定額働かせ放題」は「一面的」
5/22(水) 19:12配信
朝日新聞報道を紹介します。
文部科学省は、公立学校教員の給与制度に関してNHKが「定額働かせ放題とも言われる枠組みは残る」などと報じたことを「一面的なもので大変遺憾」として、ホームページに抗議文を掲載した。現行の給与制度を「定額働かせ放題」と批判して抜本改正を求めていた現場の教員らの間では、同省が抗議したことに疑問の声が広がっている。
抗議文は17日付で、矢野和彦初等中等教育局長名で出されている。
文科相の諮問機関である中央教育審議会の特別部会は13日に、公立学校教員の給与増や働き方改革などの具体策を盛り込んだ「審議まとめ」を了承した。残業代を出さない代わりに一律に上乗せ支給している「教職調整額」を、現在の「基本給の4%」から「10%以上」に増やすことなどが柱となっている。
NHKの報道はこの審議まとめに関するもの。13日の放送では、冒頭に「定額働かせ放題、どれだけ残業しても一定の上乗せ分しか支払われない教員の給与の枠組みはこのように呼ばれています」「定額働かせ放題ともいわれる枠組み自体は残ることになります」などと説明。審議まとめの内容や現役教員の反応、有識者のコメントなどを報じていた。
この報道について文科省は抗議文で、教員の給与に関する現行の仕組みや経緯、背景について触れていないと指摘。さらに、「一部の方々が用いる 『“定額働かせ放題”の枠組み』と一面的に、教育界で定着しているかのように国民に誤解を与えるような表現で報じるもの」としたうえで、「なぜ教職調整額の仕組みを維持するとしたかという中央教育審議会における議論の内容に触れることのない一面的なもの」とも批判した。
矢野局長は23日、朝日新聞の取材に「定額働かせ放題」の言葉を使うこと自体を問題にしたのではないと説明。「そもそも使わない社や『一部の』などの言葉とセットで使う社があった一方、NHKの報道は教育界全体がそうとらえていると言い切った表現だ」などと述べた。
公立学校教員の給与制度は、残業代がつかず、実際の残業時間に関わらず上乗せ分が一律のため「定額働かせ放題」との批判も根強くある。残業代を出す仕組みの検討は、特別部会の大きなテーマだった。ただ、残業代を出す場合に必要な財源は年3千億円以上(国の予算ベースの試算)で、教職調整額を10%にする場合の年約1150億円(同)の3倍近くになる。管理職が教員の残業時間を正確に把握することが難しいとの指摘もあり、特別部会は残業代を出さない現在の枠組みを維持しつつ、教職調整額の比率を上げて教員の処遇を改善することを打ち出した。(山本知佳)
NHK広報局は朝日新聞の取材に対し「指摘があったニュースの中では、『給特法』について、原則残業を命じないとされている点が明記されたことも伝えており、『一面的だ』という指摘はあたらないと考えています。また、これまでも法律の仕組みや背景を丁寧にお伝えしています。文部科学省は、今回の報道について、訂正などを求めていないと認識していますが、今後も正確でわかりやすく、公平かつ公正な報道に努めてまいります」としている。
■文部科学省がNHKに出した抗議文(全文) 5/17矢野和彦初等中等教育局長
去る5月13日(月)の貴放送協会の報道においては、冒頭「定額働かせ放題、どれだけ残業しても一定の上乗せ分しか支払われない教員の給与の枠組みはこのように呼ばれています」としたうえで、「定額働かせ放題ともいわれる枠組み自体は残ることになります」と報じられました。
今回のこの貴放送協会の報道は、公立の義務教育学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法(給特法)について、教師の職務等の特殊性に基づき給与等の勤務条件の特例を定めていることなど、なぜこのような制度になっているのか、現行の仕組みや経緯、背景について触れることなく、一部の方々が用いる 「“定額働かせ放題”の枠組み」と一面的に、教育界で定着しているかのように国民に誤解を与えるような表現で報じるものでした。
また、様々な議論を経て中央教育審議会の「審議のまとめ」が取りまとめられたにもかかわらず、今回、なぜ教職調整額の仕組みを維持するとしたかという中央教育審議会における議論の内容に触れることのない一面的なものでもありました。
このような今回の貴放送協会の報道は大変遺憾です。報道に当たっては、国民の皆様の正確な理解につながるよう、丁寧な取材に基づき、多面的に、公平かつ公正に取り扱う報道をするように求めます。
5/13NHK 文部科学省の中教審特別部会の「教員の働き方改革や処遇改善」の報道
文部科学省・中教審特別部会の「教員の働き方改革や処遇改善」の審議結果の報告(5/13)があり、それについて5/13に、NHKニュースで報道しました。
NHKニュースを紹介します。配信 2024年5月13日
教員給与 半世紀ぶり引き上げ方針 “定額働かせ放題”は…
教員の給与について、実現すれば半世紀ぶりとなる引き上げを求める提言がまとまった一方で、勤務時間に応じた残業代が支払われない“定額働かせ放題”とも言われる枠組みは残る見通しになりました。
教員の給与や働き方について今回まとまった方針について、詳しくお伝えします。
文部科学省の中教審=中央教育審議会の特別部会は、去年6月から教員の働き方改革や処遇改善を議論していて、13日審議結果をまとめました。
実現で半世紀ぶり引き上げ “定額働かせ放題”枠組みは維持
この中では公立学校の教員の給与について、「給特法」という法律で残業代を支払わない代わりに支給されている上乗せ分を、50年余り前の月の残業時間およそ8時間分に相当する月給の4%から、少なくとも10%以上に引き上げるべきだとしています。
これには「給特法」の改正が必要で、仮に10%であれば追加の公費負担は2100億円となるということですが、実現すれば半世紀ぶりの引き上げとなります。
一方、“定額働かせ放題”とも言われてきた、勤務時間に応じた残業代が支払われない枠組みは残るため、先月、素案が示された際も教員などから長時間労働の抑制につながらないとして抜本的見直しを求める声もあがっていました。
「勤務間インターバル」の導入
こうした中、13日のまとめには教員の健康確保策として11時間を目安とした「勤務間インターバル」の導入が新たに盛り込まれました。
勤務の終業から次の始業までのインターバルを守るため、自宅への業務の持ち帰りを避けることも求めています。
このほか「教諭」と「主幹教諭」の間に「教諭」より給与の高い中堅ポストを創設することや、学級担任への手当の加算や管理職手当の改善をすること、教科担任制を現在の小学5、6年生から3、4年生に広げることや、支援スタッフの配置の充実も素案どおり提言しています。
13日の「審議のまとめ」を受け、文部科学省は今後具体的な取り組みを検討することにしていますが、長時間労働の解消をどう実現していくかが課題となります。
【詳細】「審議のまとめ」
今回の「審議のまとめ」には教員の働き方改革や処遇改善について、さまざまな内容が盛り込まれました。
教員の働き方改革は
働き方改革については目標を設定すべきだとしたうえで、残業時間が「過労死ライン」と言われる月80時間を超える教員をゼロにすることを最優先とし、すべての教員が国が残業の上限としている月45時間以内となることを目標として、将来的には残業時間の平均が月20時間程度になることを目指し、それ以降も見直しを継続すべきだとしています。
また、校長など管理職が働き方改革に向けてマネジメント能力を発揮することや、そのための管理職のサポート体制の整備が重要だとしているほか、取り組みには教育委員会や学校の間で差があるとして、業務量や改善に向けた進捗(しんちょく)状況をすべての教育委員会が公表する仕組みの検討が必要だとしています。
加えて、学校と保護者間の連絡手段を原則としてデジタル化することもあげています。
学校の体制の充実は
指導や運営の体制については、ほとんどの教科を1人で教えている小学校の学級担任の受け持ち授業数を減らすため、教科ごとに専門の教員が指導する「教科担任制」を現在の小学5、6年生から3、4年生にも広げるとしています。
また、新卒の教員は学級担任ではなく教科担任にするなどして若手を支援する例もあるとし、いずれも教員の定数改善が必要だとしています。
ほかにも、急増する不登校の児童や生徒をきめ細かく支援するため、生徒指導専任の教員や養護教諭の配置の充実のほか、教員業務支援員やスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーなどの支援スタッフの配置の充実が必要だとしています。
処遇の改善は
上乗せ分の引き上げ以外にも、勤務状況に応じた処遇に向けては、「教諭」と「主幹教諭」の間に学校内外との連携や若手教員のサポートを行う中堅ポストを設け、給与体系にも新たな級を創設して「教諭」より高い給与にすることや、保護者の相談対応などに取り組んでいるとして学級担任の手当を新たに加算すること、管理職の適切な学校運営が必要だとして管理職手当を改善することも盛り込んでいます。
残業を命じない原則を追加で明記
今回の「審議のまとめ」には、公立学校の教員には原則残業を命じないとされている点が追加で明記され、時間管理の必要性が改めて強調されました。
現在の制度では、給特法や政令によって公立学校の教員には原則残業を命じないとされていて、
管理職が残業を命じられるのは
▽実習、
▽学校行事、
▽職員会議、
▽災害など非常時の「超勤4項目」と呼ばれる臨時もしくは緊急のやむをえない業務に限るとされています。
これ以外は教員の判断による「自発的」な勤務として扱われてきました。
一方、2022年度の月の教員の残業時間の平均は▽小学校でおよそ41時間、▽中学校でおよそ58時間で、そもそもの業務量が多すぎるという声が現場の教員などから上がっていました。
特別部会の委員からも前回示された素案に対し「本来は勤務時間内で授業準備などの業務を終わらせられる体制が必要だ」とか「自発的とは言えない業務で残業をする状況はなくすべきだ」といった指摘が出ていました。
今回のまとめでは新たに、残業を命じないという原則が追加で明記されたうえで、「管理職から命じられて行う業務ではなくても、時間を管理することが学校の働き方改革を進める出発点であり必要不可欠だ」ととして、時間管理の必要性が改めて強調されました。
専門家「文科省は具体的な行程表 予算確保の見通しを」
「審議のまとめ」を受け、教員の働き方改革に詳しい東京大学の小川正人名誉教授は実現に向けて具体的な見通しを示すよう指摘しています。
教員の給与の上乗せ分を引き上げることについては「給与は上がらないよりは少しでも上がった方がよいが、時間外勤務20時間に相当する10%では、教員の実際の勤務からすると不十分だ。月20時間まで減らせなければこれまでどおり“ただ働き”という状況が続くことになる。時間外勤務が一定以上を超えたら振り替え休暇とするなど制度的な工夫や運用を考える必要がある」と指摘しています。
新たに健康確保策として盛り込まれた勤務間インターバルについては「11時間の勤務間インターバルは月100時間の時間外を容認するもので、評価には慎重にならざるを得ない。そもそも今の教員スタッフでは11時間の勤務間インターバルは無理で、働く時間に制約をかけた分の勤務を担う代替の教員を増やすといった条件整備を国や都道府県がしなければ、前に進められないのではないか」と話しています。
そのうえで、長時間労働の解消に向けては「授業準備など本来的業務の時間外が増えているので、本来は教員の数を大幅に増やし教員1人あたりの業務量を減らすのが筋だが、子どもが減る中で政府や財務省は慎重で難しい。今回の『審議のまとめ』では、予算や人をどれだけ増やせるかという制約があるなかで、文部科学省が今やれることは書き込まれた印象だが、問題はどこまで、いつまでに実現できるかで、文部科学省は具体的な行程表や予算確保の見通しを社会に示す責任がある」と指摘しています。
■根津公子さんが直面した<生徒の学習権>か<君が代処分>か
根津さんからの報告です。(2024.5.11)
《家庭科講師の要請を受けたが翌朝には白紙に》
★正規教員も講師も欠員状態で、学校現場は新年度の4月1日を迎えることが珍しくなくなって久しい。
私の住む八王子市の地元(学区 自宅から徒歩10分の)中学校では4月から家庭科の講師が欠員で家庭科の授業時間は他の教科の授業を行なっているとのこと。
★4月25日(金)の夕刻、市内の友人からその話が飛び込んできたので、私は「『君が代』処分を受けていてもいいというなら喜んで引き受けたい」と返信した。数時間後の20時35分にその学校の副校長から電話がかかってきたので、同じ返事をしたところ、「明日の9時に学校に来てほしい」と。副校長は、私が「君が代」処分を受けていることを友人から聞いているとのことだった。「君が代」不起立よりも生徒の学習権保障を優先するのは当然のこと。ならば、採用となるかと半信半疑ではあったが、私の頭は翌週からの授業を考えていた。
★26日9時に校長室に通された。校長はにこりともしないで開口一番、「今市教委に心当たりがあり当たってくれていて、見つかるかもしれない」。人のよさそうな感じの副校長の判断は否定され、出勤時から9時までの短い時間に、市教委との間で決めたであろう校長の言葉だった。お茶さえ出されずに、ものの10分で私は校長室を後にした。副校長は私を校門まで送りに来たが、この判断・対応をどう感じたのだろう。
★5月2日17時50分、副校長から断りの電話が来た。「市教委が見つけた人が採用となった」と。
昨年度の講師からは、「来年度は持てない」と言われていたというのだから、かなり長い間講師を探してきて見つからなかった。なのに、25日の朝はすぐに「心当たりがある」、そして5月2日には採用決定という運び。必死で見つければ見つかるのなら、これまでは必死さが足りなかったということ?
★定年退職して既に13年が経ち、しかも講師が卒業式に出席することはないのに、「君が代」不起立元教員をここまでして排除することがよくわかりました。天皇制国家なんですね。子どもの学習権の保障が、教育委員会及び校長の最大の仕事であるはずなのに。
■大能清子(都立高校被処分者)さんから根津さんへ
都立高校でも似たような出来事が起きているので、情報提供のため送ります。
再任用を打ち切られたAさんが、4月の初めに病休の代替として時間講師の依頼を受けました。講師登録をしたところ、都教委から不採用の通知が来たのです。
以前同じ学校で講師をしたことがあるので、管理職の意向ではありません。なお、昨年度は別の学校で講師をされていましたが、都教委から横槍が入ることはありませんでした。
■根津さんから大能さんへ
講師の採用に関しては、高校は都教委ですが、義務制は区市町村教委なので、私の件は都教委まで上がっていないと思われます。校長と八王子市教委とで決定したと思われます。
私の場合は、副校長から電話があった夜の8時半過ぎから翌日の9時までの短時間の間に「お願いしたい。採用したい」から「採用しない」になりましたし。
高校教員のAさんの講師採用に、昨年は都教委から横やりが入らなかった。しかし、今年はわざわざ都教委が不採用の通知を出したということですね。
ということは、昨年はこの方が「君が代」不起立被処分者であることに気づかなかったということですか。
■大能さんから根津さんへ
都教委の心のうちはわかりませんが、昨年もAさんが被処分者であることは承知していたと思います。
中学校と高校では講師の採用の決め方が違うのかもしれません。2022年に講師登録の様式が変更され、処分歴を記入する欄が加わりました。そのときから、もしや……と懸念していました。
ではなぜ昨年度は大丈夫だったのに今年は不採用通知を出して排除したのか。
答えは都教委のみぞ知るですが、新たな制度が始まるのと、それに伴う弊害が実働化する間にタイムラグがあるのはよくあることなので、この件もそうなのかと思っています。
5/6 大阪・久保敬元校長の文書訓告の経過報告&意見交流会
(東京・ポレポレ東中野)、
主催:久保敬元校長の文書訓告取り消しを求める(ガッツせんべい)応援団)
5/7に「日本外国特派員協会(FCCJ)記者会見」が開催されました。その前日に、「経過報告&意見交流会」が開催され、20人ほどの人が参加しました。スピーキングテスト反対の保護者の方や、足立区の給食無償化運動を行った方など、なかなか面白い会でした。
以下の報告は渡部さんです。
内容
●報告された久保敬元校長さんの話は大変よかったです。現在の大阪の教育現場がいかに酷いことになっているか、そのことを告発したら世界中で同じような問題に悩んでいる教育学者などから共感のメッセージが届いた、現在世界中で展開されつつある新自由主義的な教育行政を国際的にも連帯しながら変えていく必要がある、というものでした。
●その告発とは、2021年5月に当時の松井大阪市長宛に出された「大阪市教育行政への提言」というものでした。
この「提言」を行ったために久保校長(当時)は「文書訓告」処分を受けました。
提言には次のようなことが述べられていました。
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★子どもたちが豊かな未来を幸せに生きていくために、公教育はどうあるべきか真剣に考える時が来ている。
学校は、グローバル経済を支える人材という「商品」を作り出す工場と化している。
そこでは、子どもたちは、テストの点によって選別される「競争」に晒(さら)される。
そして、教職員は、子どもの成長にかかわる教育の本質に根ざした働きができず、喜びのない何のためかわからないような仕事に追われ、疲弊していく。
さらには、やりがいや使命感を奪われ、働くことへの意欲さえ失いつつある。
(大幅な中略:全文は検索すれば出てきます。)
★コロナ禍の今、本当に子どもたちの安心・安全と学びをどのように保障していくかは、
難しい問題である。オンライン学習などICT機器を使った学習も教育の手段としては有効なものであるだろう。
しかし、それが子どもの「いのち」(人権)に光が当たっていなければ、結局は子どもたちをさらに追い詰め、苦しめることになるのではないだろうか。
今回のオンライン授業に関する現場の混乱は、大人の都合による勝手な判断によるものである。
根本的な教育の在り方、いや政治や社会の在り方を見直し、子どもたちの未来に明るい光を見出したいと切に願うものである。
これは、子どもの問題ではなく、まさしく大人の問題であり、政治的権力を持つ立場にある人にはその大きな責任が課せられているのではないだろうか。
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★久保さんは、なぜ告発する気になったのか、また文書訓告を受けた後どうしたか、
さらにどうして日本外国特派員協会(FCCJ)で記者会見までするようになったのかなどについて詳しく話してくれました。
それについてはすでに、以下のユーチューブで流れていますので是非ご覧ください。多忙な方は①と、③の最初の30分くらいの久保さんの発表をご覧ください。
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「経過&意見交流会」で流した動画
①短縮版
https://www.youtube.com/watch?v=S5j0uwLarSE
②全部
https://www.youtube.com/watch?v=KbdefwHnzso
③久保元校長の海外特派員記者クラブでの記者会見の動画
https://m.youtube.com/watch?v=sA4RLHZgHDo
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海外からのビデオメッセージなどを見ると、
現在、新自由主義的教育(それは露骨な資本主義の下でバラバラにされ絶えず競争にさらされる教育)の下で、世界中の子ども・教職員・保護者たちが同様に苦しんでいることが分りました。
久保さんは③の最後で、「政治を変えないと教育はつぶされてしまう」とも言っていました。
その通りだと思います。また、そのための国際連帯の芽ばえも知ることができました。
皆さん、私たちも声を上げていきましょう。
お知らせ 7/4★東京「君が代」裁判第五次訴訟・証人尋問1回目
【五次訴訟後半戦最大の山場~証人尋問期日決まる~大法廷を傍聴で埋めよう!】
学校に自由と人権を!―粘り強く闘われている「日の丸・君が代」強制反対の裁判に絶大なご支援を!いよいよ後半戦の最大の山場・証人尋問です。大法廷を埋め尽くすため、多くの傍聴をお願いします。 (被処分者の会・近藤さんからです。)
★東京「君が代」裁判第五次訴訟・証人尋問1回目(東京地裁民事36部。卒入学式及び再処分処分取消請求事件。原告15名)
7月4日(木)
9時30分 傍聴希望者集合10時 開廷→終日(午前、午後)証人尋問
(昼食、入れ替えあり)
東京地裁103号(大法廷 定員98名)
内容:(午前)証人尋問 岡田正則(早稲田大学大学院教授・ 行政法)
*菅首相(当時)により学術会議会員の任命を拒否さ れた6人の学者の一人)
原告本人尋問(1名)
(午後)原告本人尋問(2名)
★東京「君が代」裁判第五次訴訟・証人尋問2回目(東京地裁民事36部。卒入学式及び再処分処分取消請求事件。原告15名)
7月18日(木)
9時30分 傍聴希望者集合10時 開廷→終日証人尋問(昼食、入れ替えあり)
東京地裁103号(大法廷 定員98名)
内容:原告本人尋問(午前3名・午後3名)
*大法廷を埋め尽くすため、多くの傍聴をお願いします。
◆東京都のスピーキングテストについての整理
小池都知事の肝いりで導入された「スピーキングテスト」に反対しよう!
4/19「中学校英語スピーキングテスト(ESAT-J)の都立高校入試活用に反対する都民集会」が都議会第一会議室で開かれました。 報告:渡部さん
▼最初に「入試改革を考える会」代表の大内裕和・武蔵大学教授がスピーキングテストの経過について紹介
〇2021年11月から反対運動始まる 経緯を紹介
〇2022年3月、「入試を考える会」が文科省記者クラブで(ESAT-J)の問題点を指摘。この時、英語教育学者・鳥飼 玖美子(立教大名誉教授)も参加。
〇2022年7月、「都立高校入試英語スピーキングテストに反対する保護者の会」が結成
〇2022年9月、都議会で、立憲民主党などがスピーキングテストを入試に使わないことを提案→本会議で否決
〇2022年10月、都民ファーストの会の都議3人が会派方針に反し、党を除名される。その方々はその後ミライ会議を結成。この4/19集会に参加
〇2022年10月、都立高校入試への活用中止のための「英語スピーキング議連」(42名)発足。この4/19集会に参加
〇2022年11月、「入試改革を考える会」の大内裕和、吉田弘之さんらが小池都知事らに対し「住民訴訟」を提訴
●11月27日、中学校英語スピーキングテストが強行
試験時間中の「音漏れ」が多数発生
〇2022年11月、それを受けて「英語スピーキング議連」、「中止を求める会」「保護者の会」「入試改革を考える会」の4団体は実施調査を行い記者会見を開き、東京都にも検証する調査をするように求める。→都はやらず。
〇2023年7月、「ベネッセ撤退」の報道→ブリティッシュカウンシルに代わる
●2023年11月26日 新たな事業者で試験実施。
再び「音漏れ」などのトラブルが発生
〇2023年12月5日 「英語スピーキング議連」と市民団体主催で「実施状況調査(アンケート)回答結果について」記者会見
〇2023年12月6日 東京地裁で口頭弁論(傍聴席満員)
〇2023年12月27日 入試改革を考える会が「実施調査」と「要望書」を都教委に提出。調査は2024年4月に至るも何もやっていない。
▼「都立高校入試へのスピーキングテスト導入の中止を求める会」の方から<ESAT-J Year1,2(中学1年、2年)の問題点>という報告。
(新しく中1、2年生もやるようになったので、一部簡単に紹介・報告
………
1,到達度テスト、スピーキングテストとして、機能していない。
・ほとんどの生徒が周りの音が聞こえたと言っていたり、他のクラスの生徒から問題の 解答にかかわる内容を聴いた生徒もいたりした。到達度テストとしてもスピーキングテストとして、機能していない。・・・
2,話す力がつかない
・テスト自体(内容)の問題も大きいですが、タブレットに向かって一方的に話すとい う体験は意欲を削ぐことにつながります。実際にALTと直接話すチャンスは以前よりも減らされています。・・・
3,公教育の市場化が加速
・民間業者が学校現場にどんどん入り込んできています。教育現場の労働条件や学習環境(教員の持ち時間や1クラスの生徒数など)は改善されないまま、民間企業にお金が流れる事業ばかりが進んでいます。
4,税金の無駄使い
・予算は今年度35億円、次年度43億円へと拡大しています。これだけの予算があれば全都の小中学校での35人学級が可能になります。1年生の試験時間は9分間、年間1回のわずか9分間のテストに莫大なお金をかけるよりも、生徒の日頃の学習環境のために、…もっと有意義なことに、教育予算を使うべきです。
まったく、試験の名に値しないほどお粗末で、問題だらけです。
▼再度、大内裕和さん発言
〇反対運動の特徴と成果
・英語の専門家、教育学の専門家、現場教員、保護者といった専門家と現場、市民による広範なつながりの反対運動が形成された。
・議連の結成はこの動きと連動しており、「市民・都民と『英語スピーキング議連』議員との共闘」が形成された。このことが「ベネッセ」撤退の要因の一つとなった。
<運動の成果>
(1)ESAT-J事業からベネッセを撤退させた
(2)東京都以外の他道府県へのスピーキングテスト「入試活用」拡大を阻止した。
(3)「日本で最初に英語スピーキングテスト入試活用を実現させた」
小池都知事が自らの成果としてPRしにくくなった。
〇明らかとなった東京都教育委員会と都議会・小池与党の問題性
・東京都教育委員会は、「不受験者の扱い」「音漏れ」「平均点疑惑」「採点ミス」などについての疑問に答えない。こちらが明らかにした事実を認めない。
・また、市民・都民にまともな対応を行わないなど、「市民常識が欠如」した東京都教育行政の問題点が明らかになると同時に、
・それが小池都政、都議会・小池与党のあり方とむすびついていることが、ESAT-J都立高校入試活用反対運動の過程で明らかとなった。
〇ESAT-J住民訴訟について
・2022年実施のESAT-Jについて小池百合子・東京都知事に約5億円の賠償請求
テーマ(1)「公の支配」に属さない教育への公金投入
(2)個人情報保護法制違反
(3)入学試験の公平性・公正性に反する最小経
費最大原則違反
南風原朝和氏、羽藤由美氏、中村高康氏3名の専門家
による「意見書」が提出される予定。
〇最後に、ESAT-Jから見えてくる「公共の民営化」=「私物化」という問題点
・ESAT-J ⇒ 公教育の私物化
・神宮外苑 ⇒ 公共空間の私物化
・プロジェックションマッピング ⇒ 都庁舎の私物化
・都議会での異論排除・質問回答拒否 ⇒ 都議会の私
物化
★さらに、公教育を私物化するお粗末な業者スピーキングテストだったことが明らかになりました。
★小池都知事は「都民ファースト」、「情報公開」などと述べて都知事になりましたが、それらはことごとく嘘であったことが、ESAT-J反対運動のなかでも暴かれ、その化けの皮が剥がされてきたということでしょう。
★今、このESAT-J反対運動は、7月の都知事選に向けても、その他の諸問題とともにも力強く発展しつつあります。
★★集会のお知らせ
・5月19日(日)18:30~
・練馬区ココネリ研修室
練馬駅北口 ユニクロのビルの3F
・「どうする!?東京 練馬区民集会」
(7月7日の都知事選へ向けての集会)
東京都政の現状と問題点、課題を各テーマから考え共有する集会
そのひとつのテーマのスピーキングテストについて
・発言 大内裕和・武蔵大学教授
ESAT-Jについて
●4/24 根津公子さんの都教委定例会傍聴記
「グローバル人材育成」には教育予算をふんだんに使う
都教委定例会の開催日は第2・第4木曜日とされているのに、今日の定例会は水曜日。しかも会場にいる教育委員は教育長のみ。5人の教育委員は全員がZOOM参加でした。申し合わせたのかと思いました。コロナ禍で教育委員がZOOM参加を始めた頃、私は担当者に「傍聴者にもZOOMでの傍聴を可としてほしい」と申し出ましたが、検討された形跡はありません。何度か進捗状況を問い合わせましたが、返事はもらえませんでしたから。多額なお金が支給されている教育委員はZOOMで、傍聴する私は1700円の交通費と4時間半の時間をかけている。納得できないと思いつつの傍聴でした。
今日の議題は、①今年度東京都教科用図書選定審議会(第1回)の答申について ②昨年度都立高校生の国際交流について ③中学校英語スピーキングテスト2023年度実施状況について ④昨年度条件付採用教員の任用について。すべてが報告でした。
②昨年度都立高校生の国際交流について
都立高校生を海外に派遣する、また、海外の高校生を受け入れるこの事業は昨年度が2年目で、一昨年より充実させた。今年度はさらに充実させるとのことです。
昨年度の派遣はUAE(アラブ首長国連邦)フランス、インドネシア、エジプト、ニュージーランド、フィンランド、マレーシア、アメリカに5~8日間、216名を。高校や大学、企業、世界遺産・文化施設等を訪問し交流した。今年度は270名を派遣するとのことです。受入れはカナダ、オーストラリア、ニュージーランド、フランス、タイの高校生47名に、都立高校での授業体験や部活動を通じた交流を1週間行なった。今年度は70名を受け入れるとのことです。昨年度はこのほかに単年度事業として、トルコやヨルダンなど交流機会の少ない国・地域8か国から100名の高校生を受け入れたとのこと。体験した高校生からは高評価を得たと言いますが、非日常の体験ですからそれは当然でしょう。
③中学校英語スピーキングテスト2023年度実施状況について
この議題は2月15日の定例会でも議題となっていて、そこでの報告は、23年度の実施結果は平均スコアが65,2(22年度は60,5)%、スコアが良くなったのは、中学校での取組が進んだことと子どもたちの意欲向上によるもの、とのことでした。ただ、機器の不具合(疑い例を含む)、イヤーマフ・イヤホンの装置関連、現場対応の誤りなどがあり60人の生徒に支障が生じた。その生徒に対し「説明・謝罪の上、希望者に対し、再度の受験機会を設定する」とのことでしたから、今日は再受験についての報告かと想像していましたが、それについては一言もなし。報告されたのは、出題のねらい、出題形式、評価の観点とその達成度でした。2月の報告と同様に、平均スコアが良くなったことも再度報告していました。スピーキングテストについては、当事者である中学生を含む大勢の人たちから中止を求める声があがり続ける中、都教委は同テストの「成果」を強調しようと、そのための議題なのかと思わざるを得ません。教育委員の一人は、「達成度が向上してよかった。現場の指導にフィードバックするようにしたい」(要旨)と発言。中止を求める声をどう受け止めているのかと不信感しかありません。
今年度の3年生対象のテストは11月24日(予備日12月15日)に、1・2年生のそれは1~3月に実施するとのことです。受験した3年生からの苦情(「隣の生徒の音声が大きかったので私の録音機に入ったのではないか」等々)も中止を求める保護者・市民の声も聞き流し、多額な教育予算をつぎ込んで不公平・不公正なスピーキングテスト実施に都教委は突っ走ります。 都立高校生の国際交流もスピーキングテストもグローバル人材育成部の所管事業です。都教委はこの事業には教育予算をふんだんに使うのに、小山台高校・立川高校の夜間定時制を潰さないでほしいという要請にはまったく耳を貸しません。両校の存続に使う予算はたかが知れているにもかかわらず。都教委は「誰一人取り残さないきめ細やかな教育の充実」を言葉ではかかげますが、これが実態です。
④昨年度条件付採用教員の任用について
新規採用となった教員の条件付採用期間は教諭1年、養護教諭及び実習助手等の条件付採用期間は6月となっています。条件付採用期間が終わる段階で採用か否かを決めるようになったのは、初任者研修制度が導入された1989年から。それ以前も条件付採用期間はありましたが、形だけのもので、採用拒否はありませんでした。
昨年度、採用とならなかった人は169名(全体の4,9%)。その内訳は「年度途中の自己都合退職者」159名(うち、半数が病気による)、懲戒免職1名、採用を拒否された人9名(小学校7名、中学校2名。「指導しても改善見られず」と都教委)でした。採用拒否の申請は校長がします。申請の際に校長の恣意がはたらくことはないのか、校長に〝もの申す“ことがチェックされることはないのかと非常に疑念を持ちます。
採用を拒否された人はもちろんのこと、自己都合退職者の多くは校長から「指導」の名の下ひどい言葉を投げつけられパワハラを受けてきたのではないかと心が痛みます。15年前のことですが、校長から「電車にひかれたらいい」と言われた新採用教員がいました。採用を拒否され裁判で闘った人たちは法廷でこうしたパワハラを証言してきました。
今の学校職場は、病気休職者が1,7%にのぼり、その多くがメンタルヘルス不調といいます(24年3月28日の都教委定例会報告による)し、服務事故防止月間を毎年設けているのに体罰・セクハラや窃盗等の犯罪が後を絶ちません。校長のパワハラを訴える声も多くあります。このような職場環境で条件付新採用教員が退職に追い込まれたり採用拒否にされたりするのはあまりに理不尽です。教員免許を持ち採用試験に合格した人たちを育て上げるのが校長の責任・力量です。今のような都教委が学校を支配管理する働かせ方を止め、1990年代までの職員会議が最高議決機関である職場に戻したなら、新採用教員はその中で力をつけていくこと間違いありません。教員不足も働かせ方の悪さが原因ですから、それも解決していくはずです。
4月18日、東京都教育委員会は、
<教員不足>を発表、24日自己分析
<都教委包囲首都圏ネット>の2月26日の要請への、都教委の回答
「『日の丸・君が代』強制、職階制度、業績評価が東京都の公教育を破壊したので、これらは総てやめてください」という要請 渡部さんの投稿です。
4月18日、東京都教育委員会は、年度初めの教員欠員20人、合格辞退や退職が相次いだから、と発表した。
4月24日、今度は昨年度の新任教諭の4.9%が退職、ほとんどが「自己都合」による、と発表した。
この間、このように教員不足が深刻化している。これは教育破壊状況ともいえる。
こうした状況について、<都教委包囲首都圏ネット>では、すでに今年の2月26日、都教委に対して、「『日の丸・君が代』強制、職階制度、業績評価が東京都の公教育を破壊したので、これらは総てやめてください」という要請文を出した。
1か月経てもなかなか回答が来ないので3月に連絡を入れ、
4月に入って再度連絡を入れたところ、4月24日、ようやく回答(4月23日付)が届いた。
そこには、以下のようなことが書いてあった。
■都教委の回答
1 東京都の公教育の破壊の第一の原因となった「10・23通達」を撤回すること
(回答)
これまでに出された裁判所の判断において、都教育委員会が平成15年10月23日付で 発出した、「入学式、卒業式等における国旗掲揚及び国歌斉唱の実施について(通達)」
は、旧教育基本法大10条第1項にいう「不当な支配」には該当しないとされています。
本通達を撤回する考えはありません。(所管 指導部指導企画課)
2 それによってなされた処分をすべて取り消すこと
(回答)
懲戒処分の取り消しは、考えておりません。(所管 人事部職員課)
3 教職員の職階制度を廃止し、主任制以前のっ民主的で風通しの良い職場に戻すこと
(回答)
主任教諭はミドルリーダーとして、主幹教諭への補佐、教諭への助言・支援という双方向のコミュニケーションの要となり、組織内のコミュニケーションを活性化する役割を担っています。
また、東京都では公立学校においても、教職員が安心できて働きやすい職場環境の構築を推進しています。(所管 人事部勤労課)
4 教職員集団をバラバラにし、競争を煽り長時間労働を助長する、業績評価を廃止すること
(回答)
人事評価の実施は地方公務員法第23条で任命権者が行うべきものと規定されており、 また、人事評価を任用、給与、分限その他の人事管理の基礎として活用することが同法 第23条で規定されています。都教育委員会においても同法に基づき、職員の資質能力 の向上及び学校組織の活性化を図ることを目的として人事考課制度を実施しています。(所管 人事部勤労課)
5 業者丸投げで、無責任で問題の多い英語スピーキングテストを中止すること
(回答)
本テストは業者との協定に基づき適切に実施されており、学校における様々な指導と
その学習成果を確認するスピーキングテストの双方を実施することが生徒の英語力を伸 ばすことにつながることから、引き続き、本テストの実施に取り組んでまいります。
(所管 グローバル人材育成部国際教育企画課)
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都教委回答へのコメント
1については、旧教育基本法では、教育委員会の仕事は、教育条件の整備であるとなっており、教育内容にまで「10・23通達」のように事細かく(通達)することは、明らかに「不当な支配」になるのである。
2については、そのような通達に基づき強制し、それに従わなかったからとして処分(最高6か月停職)したことは明らかに違憲・違法である。これは戦後教育史上、民主教育を守ろうとした教職員に対する思想弾圧として歴史に刻まれるであろう。
3については、現場の教員に聞けば、そうなっていないことがすぐわかる。
現在では職員会議での挙手採決は禁止されており、すべてはトップダウンで降りてくる。だからパワハラも増えている。おかしいと思っても言いたいことも言えない職場では、 精神的な病にかかる教員や退職者が増えるのは当然だろう。
どこに「双方向のコミュニケーション」があるというのか。
4については、「職員の資質能力の向上及び学校組織の活性化」と述べているが、実際には、人事考課で競わされ、教員間は分断され、時間外手当も出ないまま長時間勤務になっているのである。教員たちが見聞を広げたり、本を読む時間もないのが実態である。
戦前、多くの教員たちは社会的に無知であったので、上から言われた通りのことをやってしまったと言われている。今また、戦争の足音が聞こえる時代に再び同じことを繰り返すのだろうか。
5については、「開けない夜はない」(243)<公教育を私物化するお粗末な業者スピーキングテスト>に紹介したように、実際にはきわめてお粗末なテストで、とても「生徒の英語力を伸ばすことにつながる」とは思えないものである。
結局都教委は、みずから教員不足などの根本原因を作り出しておきながら、その原因には目を向けず、反省する意思も撤回する意志もなく、引き続きその危ない道を進むつもりである。
したがって、これからも教員不足は解消されず、公教育は破壊され続け、行きつくところ戦前同様の道を歩むことになるだろう。
だから私たちは、引き続き屈することなく反対の声を上げていく。
3月27日(水)<卒業式総括・再任用打ち切り抗議 総決起集会>開催
2003年には、都教委が「10・23通達」を出し、きわめて厳しい処分を背景に徹底的な強制に乗り出した。あれから20年半たった。渡部さんの報告
3月27日)東京で、『卒業式総括・再任用打ち切り抗議 総決起集会』が開かれた(53名参加)。
●この集会では、現在闘われている「君が代」裁判第五次訴訟の原告の方々の発言があった。そこで明らかになったのは、現在のトップダウンの教育現場の無責任体制と無気力、大きなストレスを抱える教員たちの存在だった。一口で言えば「教育破壊」である。
●この集会では最後に<「君が代」処分を理由とした再任用不合格に抗議する声明>が読み上げられたが、その後半には以下のように述べてあった。
・「10・23通達」発出以来今日までの20年半の間に、通達に基づく職務命令によってすでに484名もの教員が処分されてきた。
この大量処分は東京の異常な教育行政を象徴するものであり、命令と処分によって教育現場を意のままに操ろうとする不当な処分発令と再任用の不合格に満身の怒りを込めて抗議し、その撤回を求める。
・都教委は再三にわたる被処分者の会、原告団の要請を拒んで紛争解決のための話し合いの席に着こうともせず、この問題を教育関係者自らの力で解決を図るべく話し合いを求めた最高裁判決の趣旨を無視して「職務命令」を出すよう各校長を指導し、結果として全ての都立学校の卒業式・入学式に際して各校長が「職務命令」を出し続けている。ましてや、
二次~四次訴訟の判決によって減給処分を取り消された現職教員に、改めて戒告処分を発令する(再処分)という暴挙を繰り返し、再任用の打ち切りまで強行するに至っては、
司法の裁きを軽んずるものである。
・さらに、こうした教育行政を続けることは、2019年および2020年にILO/ユネスコの合同専門委員会、2022年に国連自由権規約委員会から出された是正勧告に背くものであり、
国際社会の人権尊重撲の流れに挑戦するものと言わざるを得ない。
・東京の学校現場は、「10・23通達」はもとより、2006年4月の職員会議の挙手採決禁止「通知」、主幹・主任教諭などの職の設置と業績評価制度によって、閉塞状況に陥っている。いま都立高校は未曽有の教員不足に悩まされている。都立高校が”もの言えぬ職場」”とされ、教師の職の魅力を失わせたことと不可分の問題である。
・私たちは、東京の学校に自由で民主的な教育を甦らせ、主人公の学校を取り戻すため、
全国の仲間と連帯して「日の丸・君が代」強制に反対し、不当処分撤回・再任用打ち切りの撤回を求めて闘い抜く決意である。この国を「戦争をする国」にさせず、「教え子を再び戦場に送らない」ために!
2024年3月27日
四者卒業式・入学式対策本部
(被処分者の会、再雇用2次訴訟を語りつぐ会、予防訴訟を引き継ぐ会、解雇裁判をひきつぐ会)
●配られたプログラムには次のようなことも述べてあった。
「沖縄の軍事要塞化、全国の空港・港湾の軍事拠点化・兵站基地化が進められている中、
3月15日には、自民、公明両党が次期戦闘機の第三国への輸出解禁を合意しました。
日本が戦時体制に入りつつあると感じさせる状況において、特別支援学校ではJアラートの避難訓練も実施されています。
学校の教室から戦争が始まらないように、生徒のための卒業式を取り戻すために、10・23通達を撤回させる取り組みは今かつてないほど重要になってきています。」
本日の集会は、まさに、「日の丸・君が代」の強制は教育破壊と戦争への道、であることを浮き彫りにした。
全国の仲間の皆さん、黙らず、ともに声をあげ、連帯して闘おう。
★卒 業 式 総 括 集会に集まってください。
3月27日(水)13時30分〜
としま区民センター会議室701・702・703(JR池袋駅東口徒歩5分・中池袋公園前)
<主な内容>
今年の卒業式を巡る状況報告、再任用打ち切り抗議、国連自由権規約委員会勧告・ILO/ユネスコ(セアート)勧告について、五次訴訟原告団の闘いなど
<主催> 四者卒入学式対策本部
被処分者の会・近藤 徹より
10・23通達から20年5月。今年の卒業式も終了しました。
都立学校の卒業式は、コロナ前に戻り、10・23通達を厳格に実施するものとなりました。式次第に「国歌斉唱」と記載し、生徒・参加者に起立斉唱を促し、教職員には職務命令で起立斉唱を強制しています。
東京京地裁では、東京「君が代」裁判五次訴訟が闘われており、3月4日に第13回弁論が行なわれ、4月17日の進行協議を経て、次回弁論期日が決まります。
10・23通達・処分撤回の闘い風化させず、東京の学校に憲法・人権・民主主義・教育の自由をよみがえらせるために、粘り強く闘っていきます。下記卒業式総括起集会への多くの皆さんの参加を呼びかけます。
2.12集会(2)
2.12 総決起集会プログラム
・開会あいさつ
・講演 大内裕和さん(武蔵大学教授)
「21世紀ファシズムと戦争にどう立ち向かうのか 」
質疑
・現場からの問題提起
教育現場からの問題 宮澤弘道さん( 多摩教組委員長)
・現場からの報告
「日の丸・君が代」 裁判の現状 第5次訴訟原告
最高裁までの闘い 根津公子
スピーキングテストの現状 義務制教員
学習支援員裁判から 元千葉義務制教員
埼玉でのミサイル訓練反対の闘い 埼玉義務制教員
改憲反対・軍拡反対 共同行動総行動 (共闘団体)
・行動提起
・閉会挨拶 団結がんばろう
宮澤さんの講演 渡部さんまとめ
大内さんの講演の後、「教育現場からの問題提起」として、公立小学校教員で多摩島嶼地区教職員組合執行委員長の宮沢弘道さんから、「憲法と教育・教育現場~教職員組合の現状と仲間づくり~」という報告があった(パワーポイントで30コマ)。
30分という短い時間だったので、宮沢さんはその全部を説明することはできなかったが、
それでも現在の教育現場がいかに過酷なものになっているかが参加者には伝わった。
■宮沢さんの報告を紹介する。
1、教員の現状
<階層化される職員室>
現在、教員は上から順に
①統括校長 ②校長(=部長にあたる)③副校長(=課長)④主幹教諭・指導教諭(=課長補佐)⑤主任教諭(=係長)⑥教諭(=係長補佐)
とピラミッド型に階層化されている。
そのため、職場のつながりがなくなり、バラバラになり、殺伐とした雰囲気になっている(責任をおしつけたり)。
<働き方改革がもたらすもの>
・本当に忙しい教員
(会議・各種調査・土曜授業・学校公開・研究授・・)
・月の残業時間は平均で123時間
これに対し、「改革」として「スクールスタッフ」として パートの方が入ってくる。
かえって危ない。改革と言えば下からやらなければならな いのに。
<教員不足の原因は・・②>(①は略)
教職員の管理強化
・教職員の階層化により、競争と不公平感による疲弊
・人事考課制度の強化により、常に評価の目にさらされ る緊張感による疲弊
・職員会議の形骸化により、自分の意見不在の「やらさ れる仕事」蓄積による疲弊
・減らないパワハラ。管理職等、上司による非常識なパ ワハラによる疲弊
<分析すると・・>
・2005年度までは不採用率(新規採用教員が1年で不採用 になる率)は1%前後
それが、パワハラ相談増加とリンクする不採用率の上昇 (2022年度は4.4%に)
・補欠合格制度の廃止と期限付き任用職員制度の導入
・「非常勤講師ー産休・育休代替ー期限付任用ー条件付 採用など、幾重もの採用制度の完成
・「三楽病院(指定医)受診⇒病気休暇⇒90日条項によ りクビ」
<教員不足の原因は・・③>
組合の弱体化
・労使の関係性崩壊による「指示待ち教員」の増加
それにより、働き方改革すらもトップダウンで進む現実
・改善の機会、相談場所が喪失している(締め付けへとつ ながる)
・官製研修(つまらない)しか知らないことによる学ぶ意 欲の減退(年々減退する意欲)がある。
<教員不足の原因は・・④>
特殊な学校文化 整列、挨拶、一人称、校則(ルール
・・etc
・管理的な文化への違和感を感じる若者は、受け入れて疲弊するか、反発して退職・ 転職する ことになる。
<教員不足解消のためには・・・>
(教育現場)
・組合を中心に民主的な職場を取り戻し教育内容・賃金
・労働条件の向上を図ること。
(大学教育)
・学校に合わせる学生を生み出すのではなく、学校の常識に染まらない確固たる教育哲学を習得した学生の育成を目指すこと。つまり、現場から教育、労働運動を展開することで、待遇・魅力の向上を勝ち取ることが、教員不足解消につながる。
2、憲法・人権・道徳と教育
<現在、私たちは心も体も国家の管理下にあります>
2002年「健康増進法」が施行された。しかし、「憲法25条」には、「健康で文化的な最低限の生活を営む権利を有する」と述べてあるのに、「健康増進法2条」には、「国民は・・・自分が健康であるようにする責務がある」と述べてあり、さらに、10条、16条では厚労大臣や知事に調査権の行使を認める、ことになっている。
つまり、今病気でなくても予防的観点から人々の生活を管 理下に置き、修正要求を要求できることになる。
そして、道徳の教科化により・・身体も「評価対象」になる。
<政治に無関心な教員>
・選挙活動制限の勘違い、として、中には、選挙に行くこ とができないと思っている教員もいる。
・バランス至上主義が支配している。
・職員室の会話では政治の話が出ない
・主権者の役割を果たしていない先生による主権者教育を やっている。
・自己責任を声高に叫ぶ学校になっている。
(「子どもと人権」には(1)(2)(3)がありましたが、ここでは、その中から宮沢さ んが話した内容に絞って紹介します。)
<子どもの権利条約第12条「意見意見表明権」とは>
・「自己の意見を形成する能力のある子ども」は誤訳で、正しくは「子どもは自己の意見 を表明する能力があり・・」だ。それを受け止め、改善するのが大人の役目である。
コロナ禍で弱者(子ども)は我慢の連続だ。声もあげられない。
<人権と道徳は別物>
人権はあくまでも「人」としての権利の保障だ。これに対して道徳は国家体制を維持す るためのもので、個人にまなざしが向けられるという特質がある。
(個人が悪者に)
<道徳教科化のねらい>
キーワードは「自己責任論」である。戦前の「修身」は筆頭科目で、各教科ではその中 に道徳的な 内容を入れなければならなかった。その結果暗黒時代になった。
今の「特別の教科・道徳」は、各教科の扇の要と言っている。しかし、本来、<各教科の科学的内容が優先されなければならない>。
<愛国心教育と近代憲法>
前者は、真ん中に「私」がおり、その周りを「国・公」が取り囲んでいる。後者は、「多くの私」と「国・公」は対等な立場だ。
3、教職員組合の現状
・組織率は…極めて低くなってきており、厳しい状態だ。
・組合員の高齢化も進んでいる。
・疲弊した新規加入者の存在。
・メリットデメリット論による組合不要論がある。
・政治とか連合とかは、ここだけの話になってしまう。
<組織力向上のポイント>
・まず寄り添うことがはじめの一歩だ。オルガナイザーは誰でもできる。
・身近な労働条件闘争を!
・職場会の充実 まずは「聞く」こと。若い職員の声から運動の方向性が見える。
・総論賛成でリベラル勢力の結集を!
宮沢さんは
「終りに」(教育を取り戻すために確認したい事)として
①誰がやってもよい仕事
②理想を語れる仕事
③半径1mが大切な仕事
をあげていた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
宮沢さんの話が終わった後、98歳という高齢をおして参加してくれた北村小夜さんが、「話したい」と手をあげ、次のようなことを話してくれた。
北村
戦前に教育を受けた自分にとって、宮沢さんの話は大変良かった。戦後の1947年、教育基本法ができたが、そこでは「道徳」ではなく、「科学」的なことを優先することになった。また、当時は、教員になるとみんな日教組に入った。
「国家権力」が現場を支配するというのは「国家」の在り様と関係しているということだ。
「科学」的な内容をきちんと教えなければならない。
●また、アンケートには、
学校は利益を目的とする会社とは違うのだから、教師に上下をつけるのは間違いだ。
・宮沢さんのお話は教育現場の予想以上に深刻な実態がよくわかりました。15年ほど前に退職しましたが(当時も職場状況は悪くなっていましたが)はるかに大変な状況と感じました。組合活動を支えている方の苦労・困難を改めて知りました。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー今回の第20回「総決起集会」は、私たちがどういう時代に生きており、その中でどう闘っていけばよいかが問われた集会だったと思います。
全国の皆さん、共に連帯して闘って行きましょう。
2024年2月12日
都教委包囲首都圏ネットワーク主催で、『2・12総決起集会~今こそ、反戦・平和の運動を教育と社会に!』が開かれた。(100人参加)。
この集会は都教委が2003年に「日の丸・君が代」強制の「10・23通達」を出した後の2005年から毎年2月に開かれ、今回が20回目だった。
久しぶりに開いた集会でしたが、講演者、発言者とも真剣な問題提起をして、緊張感漂う集会になりました。
大内裕和さんの講演 渡部さんがまとめ
2003年当時、教育基本法が改悪されるという状況下、12月23日、改悪反対の「全国集会」が日比谷公会堂で開かれた。この「全国集会」を機に、翌年『教育基本法の改悪をとめよう!全国連絡会』が作られ、2006年12月の安倍政権による教基法改悪まで、6回の全国集会とデモ、新聞意見広告などを行いながら闘った。その時の呼びかけ人は、高橋哲哉・小森陽一・三宅晶子・大内裕和さんの四人だった。
今回の『総決起集会』に私たちは、その内の一人・大内裕和さん(武蔵大学教授)を講師に招いた。
●大内さんの演題 <21世紀ファシズムと戦争にどう立ち向かうのか>
大内さんはA4版11ページにもわたる詳細なレジュメを用意された。ここではとてもその全体を紹介することはできないが、レジュメにそって講演の基本的内容を以下に紹介する。
(最初に)
「10・2通達」はファシズム的体質を持つ。
毎日報道される戦争では、殺戮・虐殺が起きている。
21世紀のファシズムと戦争と闘うことは「新自由主義」と闘うことでもある。
(1)沖縄・南西諸島の軍事要塞化について
これは戦争準備というより、戦争実行体制づくりだ。
2012年に日本政府が尖閣諸島を国有化したときから始まっている。
(その後の具体的動きを紹介し)
2022年12月の「安保3文書」で、南西諸島が戦略拠点・最前線になることが明確化された。
「沖縄本島と南西諸島とのヒエラルキー・差別行動」が利用された。
また「米軍基地反対」運動の「分断」工作として、あくまで「自衛隊基地」建設として当初は進められた。
(2)現代版「治安弾圧」としての大川原化工機「冤罪」事件 これはでっち上げである。
2017年 警視庁公安部は経産省の許可を得ずに噴霧乾燥機を
輸出した被疑事実で捜査を開始。
2018年 大川原社および自宅に対し捜査・差し押さえ。
2020年 代表取締役、常務取締役、相談役の3名を逮捕、起訴。
2021年 顧問が病院で死去、東京地検公訴取り下げ、裁判終結。 遺族らは、国と都に損害賠償を求め提訴。
2023年 東京地裁、逮捕・起訴などは違法、賠償を命じる。
2024年 国と都は東京高裁に控訴、会社側も控訴。
ここにみられるのは、「経済安全保障推進法」(2022年)の成立と、警視庁公安部外事 第一課、経済産業省、検察がセットになった「冤罪」である。
その背景には、第二次安倍政権における警察官僚の重用、それに伴う警察官僚と政治権 力中枢の関係強化がある。杉田和博は2017年に内閣人事局長を兼任している。
北村滋は国家安全保障局長になっている。
(3)転換点としての1984年通常国会(自分が高2の時だった)
この年、臨教審の設置、日本育英会法の改正(有利子奨学金の導入)、国鉄の分割・民営化が行われた。つまり、中曽根政治(「戦後政治の総決算」、「戦後教育の総決算」)
以降の新自由主義・国家主義が基本的に定められた。
(4)「新自由主義と国家主義」の結合としての1995年
1994年には、小選挙区制の導入により、右から55年体制を壊し、社会党の解体と保守二大政党の実現による改憲実現へ向かうようになった。
1995年には、日経連「新時代の『日本的経営』が打ち出され、労働者の三分類=差別化(A長期蓄積能力グループ、B高度専門能力グループ、C雇用柔軟型グループ)が進むことになった。
1999年には、労働者派遣法改悪が行われ、それ以降非正規労働者の数が急増した。
国家主義については、グローバル市場維持のための軍事行動(海外派兵)とイデオロギーによる「国民」統合が進められた。
1993年 自民党の「歴史・検討委員会」に、初当選の安倍晋三が委員に抜擢された。
1995年 アジア・太平洋戦争を肯定する「自由主義史観」の登場。
1997年 「新しい歴史教科書をつくる会」結成、日本会議の結成。
2000年 「新しい教育基本法を求める会」、教育改革国民会議の発足。
2001年 「つくる会」教科書検定合格。
となって行き、2003年の教基法改悪による「国家主義教育」へとつながる。
(5)日本政府の新自由主義的再編と自民党の中央集権化・極右政党化
2001年には、大蔵省→財務省(財金分離)、文部省+科学技術庁→文部科学省、通産省→経済産業省(勢力拡大・新自由主義推進)となり、首相直属の機関として内閣府を設置(他の12省庁よりも上位に格付け)、
内閣府に通産省官僚が多数登用され、内閣府+経済産業省→新自由主義政策となった。
また、この間、建設業界・日本医師会・特定郵便局・商工会議所の衰退に代わり、日本 会議、統一教会、立正佼成会、創価学会(選挙の実働部隊)らによる自民党の宗教的と もいえる極右政党化が進んだ。
(6)21世紀ファシズムのスタートとしての「10・23通達」(石原都政)
(ここには、以下のようなことが書かれていた。)
1999年 石原都知事誕生(極右都政の開始)
2003年「10・23通達」による「日の丸・君が代」強制
→「学校現場の自由」を圧殺、教職員組合への攻撃
「10・23通達」反対運動→21世紀の反ファシズム運動
石原都政は、21世紀の「グローバル都市」東京を目指した。
(アンダーライン部分にあるように、大内さんは「10・23通達」反対運動を、21世紀の反ファシズム運動と位置付けている)
(7)憲法改悪のリハーサルとしての教育基本法改悪を実現した
安倍政権は「任期中の改憲」を主張、教育基本法改悪を実現した。
また、実質的には経産省内閣(→財務省軽視)となった。
経産省・通産省の前身は商工省であり、対米開戦時の商工大臣は岸信介であった。
岸信介は、鮎川義介(日産コンチェルンの創始者)、松岡洋右(日独伊三国軍事同盟の際の外務大臣)と姻戚関係で、15戦争を主導したパワーエリートの親族ネットワーク の中心にいた。
安倍政権の下で、経済産業省は教育分野に介入、
「未来の教室」プロジェクトとして<学びの個別最適化>を打ち出した。
それはEdtech(エドテック)と呼ばれ、教育(Education)×テクノロジー(Tecnology)の造語であり、教育領域にイノベーションを起こすビジネス、サービス、スタートアッ プ企業などの総称である。
これに対し、教職員組合運動は文科省だけではなく、官邸と経済産業省との対決が重要。しかし、実際には官邸・経済産業省の新自由主義改革を文科省との協調によって「防戦」 する戦略を取っている。その結果、未曾有の教員不足問題が浮上している。
第二次安倍政権の最大の特徴はメディアコントロールであった。
目標は「NHKと朝日をおさえこむ」こと。
国谷裕子をはじめ政府に批判的なキャスターの「首切り」、政権批判的なコメンテーターの排除が行われ、メディアに登場する極右・安倍支持のコメンテーターは激増してい る。(櫻井よし子、岩田明子、橋下徹、古市憲寿、三浦瑠璃、ひろゆき、落合陽一、成 田悠輔・・・・)
(8)1980年代の新自由主義から、21世紀の極右・ファシズムへ
ここでは、アメリカのレーガン、イギリスのサッチャーなどにより新自由主義がはじまったこと、その延長線上に中曽根〜安倍がいることが述べられた。
(9)私自身の活動
レジュメには2003年の「教育基本法改悪反対!12・23全国集会」
以後の大内さんの活動が紹介されていましたが、割愛されました。
(10) 岸田政権
「出世払い」制度と経済的徴兵制として、教育未来創造会議(岸田首相が議長、2021年12月発足)で、「大学卒業後の所得に応じた『出世払い』」制度導入を提言した。
これは「親負担」から「本人負担」へとなるもので、学生がマイナンバー登録になれば、政府は貧しい家庭の出身で健康な若者を捕捉可能となる。これは「経済的徴兵制」への 動きとなるだろう。
(以下岸田政権による軍拡・戦争準備について触れ、)
2023年統一地方選挙における維新の台頭は、日本における21世紀型ファシズムである。
(11)当面の課題と今後の運動のポイント
(これについては、時間不足で大内さんは十分説明できませんでした。が、重要な指摘があると思いますので、以下、レジュメに載っている部分で補います。)
①21世紀ファシズムとしての「維新」とどう対抗するのか。「維新」との主戦場の一つは東京だ(2024年2月現在、都議会議員127名の内、維新は1名)。維新の「多摩川超え」をどう阻むか。(小池百合子都知事辞任後、橋下徹立候補の危険性がある)
②「格差と貧困」、階層政治・階級政治を組み込んだ運動を
安保法制闘争と選挙での野党共闘について、現行選挙制度で「3分の1」は取れるが、過半数は取れない。
憲法9条+25条(雇用と社会保障)が重要だ。
維新の教育無償化政策、小池百合子の教育無償化は格差拡大になる。
「私立」と「公立」の差を無視する「普遍主義」だから。
これは、左派から出てきた「無償化」を右派が簒奪したものだ。すでに「貧困層の固定化と中間層の解体」が急速に進行している。
③1970年代後半以降の新自由主義グローバリズムについて
極右独裁の台頭と世界戦争という時代状況をつかむこと。
1980年代以降の新自由主義で急速な格差拡大が起きている。
「米国経済における億万長者の影響力は1980年代以降大幅に拡大し、米国における財産の集中度は、20世紀初頭のヨーロッパ並みの高さに迫っている」
(トマ・ピケティ『来たれ、新たな社会主義』みすず書房)
ロナルド・ドーア『金融が乗っ取る世界経済』(中公新書、2011年)には、「日本経済のアングロ・サクソン化は、米国が西太平洋における軍事的覇権国であり、日本と安全 保障条約を結んでそこに基地を持ち、その基地を移設しようとする内閣(たとえば鳩山 内閣)を倒すくらいの力がある、という事情と密接な関係がある」と述べてある。
30~40年後の西太平洋における覇権国家は中国だろう。
GDPとしては2030年代半ばに中国は米国に追いつく可能性が高い。しかし、軍事的には米国の優位はその時点でも揺らいでいない可能性が高い。
20世紀前半の帝国主義戦争のような領土争いではなく、21世紀の戦争はグローバル市場の維持と基軸通貨(ドル・元)をめぐる争いとなろう。
2024年米国大統領選挙はトランプ(「力こそ正義」)勝利の可能性がある。
すると「米国―イスラエル」同盟強化が一層進み、中東を発端とする第3次世界大戦勃 発の可能性がある。
④戦争開始後、戦時中の「抵抗」(レジスタンス)を想定した反戦平和運動・改憲阻止闘争、資本主義の「先」を意識した社会認識と運動の重要性
「9条改憲阻止」や「軍事費2倍増反対」にとどまらず、沖縄・南西諸島のリアルな実 態を共有し、「憲法9条を実行する」実践。
戦争が開始された場合の抵抗」を具体的に想定した反戦平和運動・改憲阻止闘争のヴァージョン・アップが必要だ。
労働者・市民・住民がどのような場所でいかなるかたちで戦争への抵抗が可能かを共有し、集団として構想と実践を深める必要がある。
1990年前後の「社会主義の終焉」(実際にはソ連型共産党一党独裁の終焉)から2020年代の「資本主義の終焉」へ。
つまり、グローバル資本主義の延長上の世界戦争と「新しい世界」構想の重要性だ。
冷戦崩壊後 旧ソ連・東ヨーロッパが市場経済化した。
しかし、新自由主義グローバリズムの矛盾は「マイナー・チェンジ」では乗り越え不可能だ。
「格差と貧困」是正し、気候変動にストップをかけるためには、資本蓄積を最大公理とする社会の転換、「民営化」から再公有化、資本の私的所有から「社会的所有」「資本の社会化」への移行が必要だ。
平等、循環型経済、労働者・市民参加型の「社会主義的連邦主義」だ。そのための理論 と実践が重要だ。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
以上、大内さんは、1980年代からこれまでの新自由主義による社会と教育の変遷をたどり、演題にあるように「21世紀ファシズムと戦争にどう立ち向かうのかについて具体的に語ってくれた。
●アンケートには、
・「時代の流れと新自由主義と教育の問題についてよくわかりました。」
・「大内さんの講演を聞いたのは久しぶりでしたが、現在のディストピア的状況のよって 来るところと、今後起こるであろう事態について、めりはりのある話で、非常に面白く 聞きました。
研究と社会変革とを一つの実践として展開されている大内さんに敬意を表します。」
というような声が寄せられました。
(次回(後)は現場から