1月22日(月)。2018年通常国会が開会した。
午前中に開かれた自民党の両院議員総会で、安倍首相は、「我が党は結党以来、憲法改正を党是として掲げてきた。いよいよ実現する時を迎えている。」と語り、通常国会で議論を加速させる考えを表明した。渡部さんのコメントです。
しかし午後に国会で行った「施政方針演説」では、
<おわりに>の部分で、わずかに、「50年、100年先の未来を見据えた国創りを行う。国のかたち、理想の姿を語るのは憲法です。各党が憲法の具体的な案を国会に持ち寄り、憲法審査会において、議論を深め、前に進めていくことを期待しています。」と述べただけだった。
これまで安倍首相は、国会開会前や選挙期間中は「本心」を隠し、いかにも人々の声に耳を傾けるような言葉を発しながら、一旦多数の議席を取ると、「本心」むき出しの国会運営や政権運営をやってきた。今回も多数の議席を背景に同じようなことをやろうとしている。
ところで、施政方針演説では次のようなことが柱になっていた。
1、はじめに
(ここでは明治150年が強調された)
2、働き方改革
(ここでは、戦後の「労働基準法」を70年ぶりに<大改革>することが強調された)
3、人づくり革命
(ここでは、「前世代型社会保障」「教育の無償化」「多様な学び」など、つまり<一億総活躍社会(一億総動員?)>が強調された)
4、生産性革命
(ここでは「生産性向上」に向けての「政策の総動員」が強調され、そのための法人税減税が打ち出された)
5、地方創生
(ここでは「農林水産新時代」「地方大学の振興」「観光立国」などが強調され、同時に危機管理や福島イノベーション構想が述べられた)
6、外交・安全保障
(ここでは、北朝鮮の脅威をあおり、「防衛力の強化」と「日米(軍事)同盟」が強調された。ただ、中国やロシアに対しては、表向き関係重視の表現となっている)
7、おわりに
(ここに、改憲についての短文が入っている)
結局、「働き方改革」で戦後の「労働基準法」を骨抜きにし、「人づくり革命」で<一億総活躍(一億総動員?)>の社会にし、「生産性革命」でドンド<ン合理化を推進し、「地方創生」で地方でもイノベーション(合理化)を推進、「外交・安全保障」で日米同盟のもと軍備を増強し海外に打って出る、そしてそのために憲法改正を成し遂げる、という事だろう。
ただ、いろいろな形でバラまきをする一方、他方で法人税減税をし軍備増強を限りなく進める、という構図も見えてくる。ということは、新年度予算案が過去最大の97兆7128億円(膨らむ防衛費)に見られるように、財政的にはますます悪化する方向に進んでいくであろう。
安倍首相は日本を、頭でっかちで好戦的ではあるが、足元がおぼつかない社会にしようとしていると言えよう。