お知らせ

拡大表示の方法: キーボードの「Ctrl」キーを押しながら「+」キーを押します。
縮小表示の方法: キーボードの「Ctrl」キーを押しながら「-」キーを押します。

2024年4月29日月曜日

4/24 根津公子さんの都教委定例会の傍聴記

 ●4/24 根津公子さんの都教委定例会傍聴記

「グローバル人材育成」には教育予算をふんだんに使う

都教委定例会の開催日は第2・第4木曜日とされているのに、今日の定例会は水曜日。しかも会場にいる教育委員は教育長のみ。5人の教育委員は全員がZOOM参加でした。申し合わせたのかと思いました。コロナ禍で教育委員がZOOM参加を始めた頃、私は担当者に「傍聴者にもZOOMでの傍聴を可としてほしい」と申し出ましたが、検討された形跡はありません。何度か進捗状況を問い合わせましたが、返事はもらえませんでしたから。多額なお金が支給されている教育委員はZOOMで、傍聴する私は1700円の交通費と4時間半の時間をかけている。納得できないと思いつつの傍聴でした。

 今日の議題は、①今年度東京都教科用図書選定審議会(第1回)の答申について ②昨年度都立高校生の国際交流について ③中学校英語スピーキングテスト2023年度実施状況について ④昨年度条件付採用教員の任用について。すべてが報告でした。

②昨年度都立高校生の国際交流について

 都立高校生を海外に派遣する、また、海外の高校生を受け入れるこの事業は昨年度が2年目で、一昨年より充実させた。今年度はさらに充実させるとのことです。

 昨年度の派遣はUAE(アラブ首長国連邦)フランス、インドネシア、エジプト、ニュージーランド、フィンランド、マレーシア、アメリカに5~8日間、216名を。高校や大学、企業、世界遺産・文化施設等を訪問し交流した。今年度は270名を派遣するとのことです。受入れはカナダ、オーストラリア、ニュージーランド、フランス、タイの高校生47名に、都立高校での授業体験や部活動を通じた交流を1週間行なった。今年度は70名を受け入れるとのことです。昨年度はこのほかに単年度事業として、トルコやヨルダンなど交流機会の少ない国・地域8か国から100名の高校生を受け入れたとのこと。体験した高校生からは高評価を得たと言いますが、非日常の体験ですからそれは当然でしょう。

③中学校英語スピーキングテスト2023年度実施状況について

 この議題は2月15日の定例会でも議題となっていて、そこでの報告は、23年度の実施結果は平均スコアが65,2(22年度は60,5)%、スコアが良くなったのは、中学校での取組が進んだことと子どもたちの意欲向上によるもの、とのことでした。ただ、機器の不具合(疑い例を含む)、イヤーマフ・イヤホンの装置関連、現場対応の誤りなどがあり60人の生徒に支障が生じた。その生徒に対し「説明・謝罪の上、希望者に対し、再度の受験機会を設定する」とのことでしたから、今日は再受験についての報告かと想像していましたが、それについては一言もなし。報告されたのは、出題のねらい、出題形式、評価の観点とその達成度でした。2月の報告と同様に、平均スコアが良くなったことも再度報告していました。スピーキングテストについては、当事者である中学生を含む大勢の人たちから中止を求める声があがり続ける中、都教委は同テストの「成果」を強調しようと、そのための議題なのかと思わざるを得ません。教育委員の一人は、「達成度が向上してよかった。現場の指導にフィードバックするようにしたい」(要旨)と発言。中止を求める声をどう受け止めているのかと不信感しかありません。

 今年度の3年生対象のテストは11月24日(予備日12月15日)に、1・2年生のそれは1~3月に実施するとのことです。受験した3年生からの苦情(「隣の生徒の音声が大きかったので私の録音機に入ったのではないか」等々)も中止を求める保護者・市民の声も聞き流し、多額な教育予算をつぎ込んで不公平・不公正なスピーキングテスト実施に都教委は突っ走ります。    都立高校生の国際交流もスピーキングテストもグローバル人材育成部の所管事業です。都教委はこの事業には教育予算をふんだんに使うのに、小山台高校・立川高校の夜間定時制を潰さないでほしいという要請にはまったく耳を貸しません。両校の存続に使う予算はたかが知れているにもかかわらず。都教委は「誰一人取り残さないきめ細やかな教育の充実」を言葉ではかかげますが、これが実態です。

④昨年度条件付採用教員の任用について

 新規採用となった教員の条件付採用期間は教諭1年、養護教諭及び実習助手等の条件付採用期間は6月となっています。条件付採用期間が終わる段階で採用か否かを決めるようになったのは、初任者研修制度が導入された1989年から。それ以前も条件付採用期間はありましたが、形だけのもので、採用拒否はありませんでした。

 昨年度、採用とならなかった人は169名(全体の4,9%)。その内訳は「年度途中の自己都合退職者」159名(うち、半数が病気による)、懲戒免職1名、採用を拒否された人9名(小学校7名、中学校2名。「指導しても改善見られず」と都教委)でした。採用拒否の申請は校長がします。申請の際に校長の恣意がはたらくことはないのか、校長に〝もの申す“ことがチェックされることはないのかと非常に疑念を持ちます。

 採用を拒否された人はもちろんのこと、自己都合退職者の多くは校長から「指導」の名の下ひどい言葉を投げつけられパワハラを受けてきたのではないかと心が痛みます。15年前のことですが、校長から「電車にひかれたらいい」と言われた新採用教員がいました。採用を拒否され裁判で闘った人たちは法廷でこうしたパワハラを証言してきました。

 今の学校職場は、病気休職者が1,7%にのぼり、その多くがメンタルヘルス不調といいます(24年3月28日の都教委定例会報告による)し、服務事故防止月間を毎年設けているのに体罰・セクハラや窃盗等の犯罪が後を絶ちません。校長のパワハラを訴える声も多くあります。このような職場環境で条件付新採用教員が退職に追い込まれたり採用拒否にされたりするのはあまりに理不尽です。教員免許を持ち採用試験に合格した人たちを育て上げるのが校長の責任・力量です。今のような都教委が学校を支配管理する働かせ方を止め、1990年代までの職員会議が最高議決機関である職場に戻したなら、新採用教員はその中で力をつけていくこと間違いありません。教員不足も働かせ方の悪さが原因ですから、それも解決していくはずです。