4月12日(木)、都教委定例会がありました。根津公子さんの傍聴記です。
足立区の性教育問題への論議なし
定例会の内容
公開議題は①来年度使用の都立高校用教科書採択について ②「英語『話すこと』の評価に関する検討委員会」の設置について。どちらも報告。
非公開議題が教員の懲戒処分についての報告。今回は議案ではないので、戒告か減給処分なのだろう。
①来年度使用の都立高校用教科書採択について
高校の教科書採択は毎年8月に行われていて、今日は採択までの流れと採択方針についての説明報告。「採択は、採択権者である東京都教育委員会が自らの責任と権限において、適正かつ公正に行う」など、今年も昨年までと同じことが報告された。
2013年から2016年まで、「日の丸・君が代」に関し、「一部自治体で公務員への強制の動きがある」と記述した実教出版「高校日本史A」「高校日本史B」について、都教委は「都教委の考え方と異なる」と各学校に通知し、学校が選定することを事実上禁止してきた(しかも、通知を決めた会議は定例の教育委員会を避け、秘密懇談会を別途2013年6月13日に開いたのだった)。
それに先立つ2012年には、実教出版教科書を選定した学校に対して、選定のし直しを強要した。それが、都教委がいうところの「東京都教育委員会が自らの責任と権限において、適正かつ公正に行う」ことだったのだ。また、教育委員もそれと同じ認識に立ったのだ。
選定・採択に向け、都教委が作成する「高等学校用教科書調査研究資料」は資料とは言えない代物。今年も同じものが提示されるのだろうか。 傍聴者には一切の発言が禁止されているので為す術はないけれど、監視はしていこうと思う。
②「英語『話すこと』の評価に関する検討委員会」の設置について
都立高校入学者選抜における英語検査において、従来の「聞くこと」「読むこと」「書くこと」に「話すこと」を加えるべきことが、昨年12月に都立高校入学者選抜英語検査改善委員会報告書にあがったことを踏まえ、表記の「検討委員会」を設置するのだという。4月から12月までに3回程度の検討委員会を開催し、今年度内に方向性をまとめる予定とのこと。検討事項は、ア.スピーキングテストの内容及び実施方法 イ.スピーキングテスト導入までの長期計画・導入規模 ウ.民間事業者との連携方法 エ.費用負担の在り方 オ.2019年度以降の実施方針 カ.その他必要な事項
説明はなかったので文字上で見るだけなのだが、民間委託を前提としているのか。「話すこと」の検査をしなければ支障があるのか、それを検討した様子はないままに、「話すこと」の検査を加えるといった印象を受けた。
★二報告に費やした時間は25分。
足立区立中学校の3年生を対象に行なった性教育について、古賀自民党都議が3月16日の文教委員会で問題視・介入したこと、それを受けた都教委が調査した結果として、学習指導要領にはない「性交」「避妊」「人工中絶」を教え、「不適切な授業」と問題視したことについては、議題になっておらず、また、教育委員の誰からも発言はなかった。都教委の「不適切な授業」見解・全都中学校校長への是正指導に、全教育委員が納得しているのか。
そうだとしても、古賀都議及び都教委の対応に批判が殺到していることに、門を閉ざしてはならない。教育委員の誰一人からも発言がなかったのは、仕事の放棄だ。事務方のやることを追認するために教育委員が存在するのではない。
退室したところで、教育委員に向かってこのことを叫んだが、あの人達の心には届かなかっただろう。
古賀都議は2003年、七生養護学校の「こころとからだの学習」に対し、都教委に「毅然とした対処」を要求した3都議の一人。都教委は「授業内容が不適切である」として教材145点を没収すると共に、当時の校長を降格並びに停職1ヶ月の懲戒処分に、教員ら31名を厳重注意処分に処した。
この裁判で、09年東京地裁は「都議らの行為は政治的な信条に基づき、学校の性教育に介入・干渉するもので、教育の自主性をゆがめる危険がある」と判決を言い渡し、13年には都と3都議に賠償を命じる最高裁判決が確定した。にもかかわらず、今回の件。反省がない。