2024年5月15日水曜日

■根津公子さんが直面した<生徒の学習権>か<君が代処分>か

 ■根津公子さんが直面した<生徒の学習権>か<君が代処分>か

根津さんからの報告です。(2024.5.11)

《家庭科講師の要請を受けたが翌朝には白紙に》

★正規教員も講師も欠員状態で、学校現場は新年度の4月1日を迎えることが珍しくなくなって久しい。

私の住む八王子市の地元(学区 自宅から徒歩10分の)中学校では4月から家庭科の講師が欠員で家庭科の授業時間は他の教科の授業を行なっているとのこと。

★4月25日(金)の夕刻、市内の友人からその話が飛び込んできたので、私は「『君が代』処分を受けていてもいいというなら喜んで引き受けたい」と返信した。数時間後の20時35分にその学校の副校長から電話がかかってきたので、同じ返事をしたところ、「明日の9時に学校に来てほしい」と。副校長は、私が「君が代」処分を受けていることを友人から聞いているとのことだった。「君が代」不起立よりも生徒の学習権保障を優先するのは当然のこと。ならば、採用となるかと半信半疑ではあったが、私の頭は翌週からの授業を考えていた。

★26日9時に校長室に通された。校長はにこりともしないで開口一番、「今市教委に心当たりがあり当たってくれていて、見つかるかもしれない」。人のよさそうな感じの副校長の判断は否定され、出勤時から9時までの短い時間に、市教委との間で決めたであろう校長の言葉だった。お茶さえ出されずに、ものの10分で私は校長室を後にした。副校長は私を校門まで送りに来たが、この判断・対応をどう感じたのだろう。

★5月2日17時50分、副校長から断りの電話が来た。「市教委が見つけた人が採用となった」と。

 昨年度の講師からは、「来年度は持てない」と言われていたというのだから、かなり長い間講師を探してきて見つからなかった。なのに、25日の朝はすぐに「心当たりがある」、そして5月2日には採用決定という運び。必死で見つければ見つかるのなら、これまでは必死さが足りなかったということ?

★定年退職して既に13年が経ち、しかも講師が卒業式に出席することはないのに、「君が代」不起立元教員をここまでして排除することがよくわかりました。天皇制国家なんですね。子どもの学習権の保障が、教育委員会及び校長の最大の仕事であるはずなのに。  


■大能清子(都立高校被処分者)さんから根津さんへ

都立高校でも似たような出来事が起きているので、情報提供のため送ります。

再任用を打ち切られたAさんが、4月の初めに病休の代替として時間講師の依頼を受けました。講師登録をしたところ、都教委から不採用の通知が来たのです。

以前同じ学校で講師をしたことがあるので、管理職の意向ではありません。なお、昨年度は別の学校で講師をされていましたが、都教委から横槍が入ることはありませんでした。

■根津さんから大能さんへ

講師の採用に関しては、高校は都教委ですが、義務制は区市町村教委なので、私の件は都教委まで上がっていないと思われます。校長と八王子市教委とで決定したと思われます。

私の場合は、副校長から電話があった夜の8時半過ぎから翌日の9時までの短時間の間に「お願いしたい。採用したい」から「採用しない」になりましたし。

高校教員のAさんの講師採用に、昨年は都教委から横やりが入らなかった。しかし、今年はわざわざ都教委が不採用の通知を出したということですね。

ということは、昨年はこの方が「君が代」不起立被処分者であることに気づかなかったということですか。

■大能さんから根津さんへ

都教委の心のうちはわかりませんが、昨年もAさんが被処分者であることは承知していたと思います。

中学校と高校では講師の採用の決め方が違うのかもしれません。2022年に講師登録の様式が変更され、処分歴を記入する欄が加わりました。そのときから、もしや……と懸念していました。

ではなぜ昨年度は大丈夫だったのに今年は不採用通知を出して排除したのか。

答えは都教委のみぞ知るですが、新たな制度が始まるのと、それに伴う弊害が実働化する間にタイムラグがあるのはよくあることなので、この件もそうなのかと思っています。